東京港区「デジタル教科書」クラウド利用の実際 紙かデジタルか、二者択一にならない深いワケ

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今後、英語やプログラミング、あるいは社会や理科の授業でデジタル教科書の本当の能力が発揮されるというが、どの教科書を採用するか悩ましい面もあるという。

「教科書会社によって、ビューアーが異なることが大きな問題ですね。いろんな入り口があると、子どもたちも使いにくいでしょうし、不具合が起こったときの対応が煩雑になります。全教科で同じ出版社の教科書を使うことはできないので、できれば業界で規格を統一してほしい。また個人情報についてどう管理するのか。セキュリティーが厳しすぎると、使い勝手が悪くなるので、どうバランスを取るのか悩ましいところです」

とはいえ、デジタル教科書の導入は緒に就いたばかり。これからほかの自治体でも検討課題となっていくだろう。そのときどこに気をつければいいのか。下橋氏がアドバイスを送る。

今日の授業を振り返るノートに「ふつうに、教科書に書きこんだりするのはあまり好きではなかったけど、アイパットになったら楽しくてすきになれました」と書き込む子も

「国が推奨するように、皆さんもデジタル教科書ではクラウド版を採用することになると思われますが、まずは安定的な通信環境を確保できているのかを確認すべきです。そこが担保できていないと、導入しても動かないという最悪の事態につながりかねません。私たちも何百人が一斉に使ったときにきちんと動くかどうか速度調査を何度も重ねました。さらに今後5Gが普及する中で、どう対応できるのか、研究を重ねています。

当初は、私も小学校の体育教諭だったため、この仕事を引き受けたときは大変な思いをしました(笑)。誰もがICTには、まだ不慣れな部分があるかもしれませんが、子どもたちの未来には欠かせないものです。そのためにも、基本中の基本として、通信環境を確認して検証を繰り返し、整備することを最優先で行うことをお勧めします」

(撮影:梅谷秀司)

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制作:東洋経済education × ICT編集チーム

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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