日本板硝子の新社長、またも外国人を起用

日本板硝子の新社長、またも外国人を起用

日本板硝子は15日、5月に入社する米国人のクレイグ・ネイラー氏が、6月の株主総会を経て社長兼CEOに就任すると発表した。藤本勝司社長は取締役会議長兼会長に就く。

同社の社長人事をめぐっては、昨年8月の“事件”が記憶に新しい。当時のスチュアート・チェンバース社長兼CEO(2006年に買収したピルキントン社出身の英国人)が、「(日本で)社長職にとどまると16歳の息子が見知らぬ他人になってしまう、不安を感じた」と家庭の事情を理由に突然辞任を表明。10月から藤本会長が社長復帰し、並行して社内の指名委員会が後任選びを行ってきた。

ネイラー氏は化学大手の米国デュポン社に36年間勤務し、電子・情報技術部門担当の上席副社長を務めた人物。「4年間東京に住んだ経験があり、日本が好き。家族も再び東京に住めると喜んでいる。事情が許すかぎり長く社長兼CEOを務めたい」(ネイラー氏)と意欲的だ。

世界29カ国に50のガラス製造用窯を持つ日本板硝子は、「売り上げ、従業員とも80%が海外」(藤本社長)という国際企業。今回も外国人社長以外に選択肢はなかった。

欧米市場で急ブレーキ

同社は06年6月に約6160億円を投じ、英国のガラス大手ピルキントン社を買収。「小が大をのんだ」と世間を驚かせ、世界首位級のガラスメーカーに躍り出た。買収後は欧米を中心とした大量生産・汎用品の建築用、自動車用のガラス事業に特化。一方で、光通信用レンズなど情報・電子用の機能性ガラスは大幅に縮小した。事業構造の転換により、欧州の売り上げ比率は5割となった。

だが、この戦略が裏目に出た。リーマンショック後、欧米のガラス需要が大幅に落ち込んだのだ。ピルキントン社買収に伴うのれん償却(約180億円)や金利負担が重く、10年3月期は2期連続の経常赤字となる。「自動車用は各国の購入支援政策で上向いているが、最大市場の欧州で建築用が低迷したまま」(藤本社長)と苦しい状況が続く。

11年3月期は生産能力2割削減、累計6700人の削減など、リストラ効果が出る。ただ、のれん償却や金利負担がなおも重く、経常黒字化は微妙。買収効果どころか、高値づかみだったと評価せざるをえない状況だ。

回復に向けて、市場拡大が見込める新興国の開拓や、太陽光発電パネル用ガラスなどへのシフトも進めている。だが復活するかは、主戦場である欧米のガラス需要にかかっている。見通しが依然不透明な中、ネイラー新社長もリストラに傾斜した路線を継続する公算が大きい。

(内田通夫 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年5月1日号)

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