パウエルFRB議長が注視する新たな指標の意味 黒人失業率や低賃金労働者の賃金上昇率に注目

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議長注目の指標はいずれも悪化

パウエル議長が重要視し、今後の課題を浮き彫りにする幾つかの指標を以下に挙げる。

【黒人失業率】

新型コロナウイルス感染症(COVID19)の流行で黒人失業率は昨年4、5両月に16.7%に急上昇した。今年1月までには9.2%に改善したが、2月は9.9%に再び悪化したことが5日の労働省の統計で示された。

米金融当局には近年、景気回復がまだら模様であることを認めるよう求める圧力が増しており、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で風当たりはさらに強まっている。パウエル議長は総計や中央値だけでなく、幅広い雇用の増加を見たいと繰り返し述べており、昨年8月に当局は、より包括的なアプローチを体系化するための金融政策戦略の変更を発表した。

【低賃金労働者の賃金の伸び】

イエレン氏はFRB議長当時、完全雇用に向けた進捗(しんちょく)状況を判断するための指標として賃金の伸びをしばしば引用した。アトランタ連銀が算出する指標もイエレン氏のダッシュボードに含まれていた。

パウエル議長は2月10日の講演で、所得分布で下位25%の賃金に特に言及した。アトランタ連銀によると、米国での新型コロナ禍本格化の直前、このグループの賃金上昇率は12カ月平均で4.7%。全体的な賃金の伸びと比較した場合、これは1990年代後半以来の高水準だった。

利用可能な直近データである今年1月までには、このグループの賃金上昇率は4%に減速した。2001年と07-09年の不況ではいずれも、このグループの賃金上昇率が底打ちするのに約3年かかった。

【非大卒者】

パウエル議長はまた、大学教育を受けていない人々の労働参加率も注視している。パンデミックでこうした層は大きな影響を受けており、5日発表の労働省の統計によると、非大卒者の労働参加率は2月時点でわずか54.7%。20年2月時点では58.3%だった。

原題:Powell’s Dashboard Shows How Far U.S. Economy Has to Go on Jobs(抜粋)

著者:Matthew Boesler

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