「コロナ禍で売れた商品TOP30」最新ランキング 店舗の売れ筋商品はどう変化しているのか?

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マスク、手指消毒剤に比べ、供給が追いつくまでに時間を要した非接触型体温計は、7月下旬になってようやく1000%を超えた。10月下旬と11月下旬には、3000%を超える場面もあり、年末の時点でようやく1600%まで落ちてきた。

マスクや手指消毒剤は消耗品だからリピート需要があるが、体温計は1度買えばコト足りる。にもかかわらず、世間の警戒心が緩んだ晩夏から晩秋にかけて伸び率が加速したということは、利用したい人の頭数自体がこの時期に劇的に増え、なおかつそこに供給が追いついていたということだろう。

今やさんざんな評価を受けているGO TOキャンペーンとも無縁ではないだろう。万全のコロナ対策を求められた小規模な飲食店や小売り店舗、宿泊施設などが、近隣のドラッグストアで非接触型体温計を購入したとしても不思議ではない。

振り返ってみれば、飲食店や役所などの公共施設が、応急処置としてビニールクロスをガムテープで貼り付けて天井からぶら下げていた状態から、見栄えもよく耐久性もあるアクリル板に入れ替えていったのもこの時期だ。

アクリル板が行き渡るのとほぼ同時期に、店舗やクリニックなどの入り口で、非接触型の体温計を持って待ちかまえているスタッフを当たり前に見かけるようになった。 

帰省できず手作りおせち需要急増?

年末の動きとして顕著だったのはおせち需要だ。かまぼこが前年比157.8%、黒豆が167.3%と大きく伸びた。さらにその上を行ったのが、パウチ入りのさといもやタケノコ。少量を下ゆでしてパウチしたものだ。伸び率は順に260%に208%と、繁忙日の巡り合わせを前提にしても驚異的な伸びだ。

これは明らかに、今年の正月は帰省ができず、自宅でおせちを作る人が増えたことを示している。それまで前年比70~80%台で推移していたこうや豆腐も、年末の最終週だけ突然142%にハネ上がっている。

本みりん、みりん風調味料やしょうゆ、わかめ・こんぶ類、削り節なども、最終週だけ軒並み120~140%台に急上昇している。

クリスマスが終わって店頭が正月モードに突入すると、スーパーも八百屋もなぜか野菜を普段より格段に大きいロットで売り始める。

おせち料理はすぐに飽きられる。作る側としてはたくさん作っても食べてもらえないことはわかっているから少し作れば足りる。日本が貧しかった時代ならいざ知らず、現代の日本の住宅は寒くない。大ロットで食材を買うと冷蔵庫に入りきらず腐らせてしまう。普段のおかずにも使える野菜以外は小ロットが望ましい。

その点、パウチ入りの野菜は小ロットで下ゆでまでしてあるのだから申し分ない。ちなみに、お煮染めは自分で作っても、さすがに黒豆まで自分で煮る人は多数派ではないということだろう。

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