成毛眞の「キャリアデザイン論」 ニッポンのジレンマ 古市憲寿×成毛眞 対談(2)
古市:そもそも就活もしてなかった大学生が3年間働いて、いきなりマイクロソフトに入って、アメリカとかに行くわけですもんね。
成毛:そもそも空港からマイクロソフトまで行くのが大変でした。インターネットがありませんでしたから、聞くしかないわけです。しかも英語は全然できない。すごく大変でした。1週間目に行った出張で、いきなりビル・ゲイツに会ったのですが、何を言っているかわからない状態で……(笑)。けっこう大変でしたよ。
古市:マイクロソフトはそれまで3年間働いた会社とは、仕事のやり方などの点で大きく違っていましたか?
成毛:案外、似ていました。最初の会社も結局、大きな会社の合弁の子会社だったのですが、人数が少なかったので、やれ行けドンドン なわけですよ。一方のマイクロソフトのほうも当時はベンチャーで、やれ行けドンドンですね。だから、会社としてのちゃんとした固まったルールとかあまりありませんでした。
古市:でも英語とか得意ではないという話でしたが、仕事は苦痛ではなかったのですか?
成毛:仕事では毎日新しいことが起こるわけです。ですから、苦しいとかつらいとか思うという余裕とか、何ていうんでしょうか、時間的なあれがないですね。すきがないですね。とにかくやるしかないっていう状態でしたね。そういう働き方が苦手な人もいると思いますが、私は楽しんで働いていました。
がつがつ働きたくない人はどうすればいい?
古市:がつがつ余裕もないほど働くのが、嫌だという人もいると思いますが、そういう人にはどういうアドバイスをします?
成毛:官公庁とか大企業に入ればいいやと思います。
古市:確かにそうですよね。一方で、「やれスキルを身に付けろ」だとか「資格を身に付けろ」という風潮がありますけど、どうですか?
成毛:そういった言葉にあんまり惑わされても、意味がないかなとは思いますよね。ただ、英語力をどうするべきか、とかいう問題があるけど、それも英語が必要になれば、英語力を付ければいいじゃないかっていう考え方ですね。
いつか英語を話さなきゃいけないから、英語を今のうちに勉強しようっていうのは、それは絶対にやりたくないタイプなんですよね。