「日本初の女性首相」の物語がいま支持される訳 『総理の夫』筆者の原田マハ氏に聞く

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2013年に発売された『総理の夫』が累計20万部のロングセラーとなっている。発売から7年半経っても人気を得ている理由とは(写真:wpo/PIXTA)

2月3日、森喜朗JOC会長が問題発言を行い、世間の注目を集めている。政治への関心が高まるコロナ禍、2013年に刊行された原田マハ氏の小説『総理の夫』が、累計20万部のロングセラーとなっている。今秋には同作が原作の、田中圭・中谷美紀が出演する映画の公開も決まった。

物語は20××年、初の女性総理大臣になった相馬凛子の夫、日和の日記という形で進む。華々しい学歴を持ち、少数野党の党首を務める妻を持つ日和は、鳥類研究所に勤める研究者。実家は資産家で、母の崇子は政財界ににらみが利く。与党の実力者が寝返って野に下り、凛子を前に出した連立政権を取ったところから、話は始まる。

同作が長きにわたって強く支持されるのはなぜか、作家の原田マハ氏に話を聞き、作品の魅力を探りたい。

日本の政治に対する危機感があった

同作に先立ち、原田氏は2010年、会社員の女性がひょんなことから政治家のスピーチライターに転じる小説『本日は、お日柄もよく』を上梓。これが、総理の夫を主役にする作品の構想につながったという。

「『本日は、お日柄もよく』は政権交代に関する話だったので、当時の政権に取材をし、選挙の仕組みその他政治についていろいろと勉強しました。その過程で、日本の政治はこのままでは世界から立ち遅れ、ダメになるかもしれないと危機感を抱きました。

以前は私自身も、特に応援する政党も政治的なオピニオンもなく、政治に深く興味を持っていなくてもいいと思っていました。しかし、日本でも2009年に民主党政権に交代し、東日本大震災が起こった。深くかかわらないまでも、社会体制について自分なりのオピニオンを持つべきなのではないかと感じたのです」

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