アマゾンCEOを退任「ベゾス氏」の微妙な引き際 コロナ禍で業績は絶好調の一方、課題も山積
ジェフ・ベゾス氏が、オンライン書店アマゾンを設立した1994年、最も頻繁に尋ねられたのは「インターネットとは何ですか?」という質問だったという。
ベゾス氏は、その答えとして、アマゾンを1.7兆ドルの巨大ビジネスに成長させた。アマゾンはオンラインで実にさまざまな商品を売り、「すべてがそろう店」として知られるようになった。また、その過程で小売業界に大変革をもたらし、物流の巨大企業となって、クラウドコンピューティング、ストリーミングエンターテインメント、AI搭載デバイスなどの分野に事業を拡大した。ベゾス氏は一時期、世界長者番付第1位だった。
「新製品や斬新な事業にエネルギー注ぐ」
ベゾス氏(57歳)は、2月3日に、ワシントン州シアトルに拠点を置く同社のCEOを辞任すると話した。
アマゾンの直近の決算報告が連続して予想を上回る伸びを見せたため、ベゾス氏は今年の夏にCEOの座を譲り、執行会長に退く意向を発表した。同社のクラウド事業部門CEOのアンディ・ジャシー氏(53歳)が後任となり、全体の経営を手がけることになる。CEOの交代は7月に始まる第3四半期に行われる。
ベゾス氏は社員に宛てた電子メールで「今でもオフィスに向かう時はタップを踏むくらいに心が弾み、それと同じくらいに執行会長就任に胸を躍らせている」と述べた。また、執行会長として「新製品や斬新な事業に注目し、エネルギーを注ぐ」つもりであるとつづっている。
ベゾス氏が20年以上体現してきたアマゾンの役員交代の波紋は社外にも広がりつつある。物販に革命を起こしてアメリカ企業に多大の影響を与えた同氏は、ハイテク産業および実業界の世界屈指の重要なリーダーとなった。
その知名度は、アップルとマイクロソフトの創業者、スティーブ・ジョブズ氏とビル・ゲイツ氏と並ぶものだ。1880億ドルもの個人資産を持ち、先月までイーロン・マスク氏を抑え、世界第1位だった。