だが、明るい見通しばかりではない。実は今年、テレビ業界に大きく影を落としているものがある。それが「オリンピックが開催されるのか、延期されるのか不透明な状況」である。
多く予定されているオリンピック関連の番組が放送できるかできないか、いまだにはっきりとしない現状では、どうしても放送局は番組制作に慎重にならざるをえないのだ。
来年度の売り上げが全然期待できない
あるキー局の制作局幹部はこう明かす。
「オリンピックがなかったときの番組の手当てはしていると思います。延期のときの前例があるからあまり慌てていないんじゃないかなとは思いますが・・・・・・。局の上層部も、営業の売り上げは減るけど、コストがそれ以上に減るから中止なら中止でまあいいかな、みたいな感じでしょう。
ただ、番組制作の予算はひどい惨状です(苦笑)。オリンピックのことも含めて、4月から始まる来年度は売り上げが全然期待できないから緊縮財政ですよ。制作現場もたぶん来年度は超節約モードにならざるをえません。経営会議に出ていて『リーマンショックのとき以上』というフレーズを本当によく聞きます。どこも厳しいのではないでしょうか」
緊急事態宣言が出たことよりも、この状況でオリンピックが本当に開催されるかどうかということが、テレビの制作現場に影響を与えているようだ。そして、それによる「予算削減」がテレビ番組にもたらす、さまざまな質の低下や現場の状況悪化がいっそう表面化するのは、まだ先の今年4月からということになる。
はたして4月からテレビはどうなってしまうのか。これからも注意深く取材を続け、また報告したい。
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