4月以降「テレビ番組の質低下」が不可避なワケ 五輪は期待薄、リーマンショック以上の緊縮へ

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だが、明るい見通しばかりではない。実は今年、テレビ業界に大きく影を落としているものがある。それが「オリンピックが開催されるのか、延期されるのか不透明な状況」である。

多く予定されているオリンピック関連の番組が放送できるかできないか、いまだにはっきりとしない現状では、どうしても放送局は番組制作に慎重にならざるをえないのだ。

来年度の売り上げが全然期待できない

あるキー局の制作局幹部はこう明かす。

「オリンピックがなかったときの番組の手当てはしていると思います。延期のときの前例があるからあまり慌てていないんじゃないかなとは思いますが・・・・・・。局の上層部も、営業の売り上げは減るけど、コストがそれ以上に減るから中止なら中止でまあいいかな、みたいな感じでしょう。

ただ、番組制作の予算はひどい惨状です(苦笑)。オリンピックのことも含めて、4月から始まる来年度は売り上げが全然期待できないから緊縮財政ですよ。制作現場もたぶん来年度は超節約モードにならざるをえません。経営会議に出ていて『リーマンショックのとき以上』というフレーズを本当によく聞きます。どこも厳しいのではないでしょうか」

緊急事態宣言が出たことよりも、この状況でオリンピックが本当に開催されるかどうかということが、テレビの制作現場に影響を与えているようだ。そして、それによる「予算削減」がテレビ番組にもたらす、さまざまな質の低下や現場の状況悪化がいっそう表面化するのは、まだ先の今年4月からということになる。

はたして4月からテレビはどうなってしまうのか。これからも注意深く取材を続け、また報告したい。

本連載「テレビのミカタ」では、匿名であなたの置かれている現状を語ってくれるテレビ関係者からの情報・相談を募集しています(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
鎮目 博道 テレビプロデューサー、顔ハメパネル愛好家、江戸川大学非常勤講師

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しずめ ひろみち / Hiromichi Shizume

1992年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神大震災やオウム真理教関連の取材を手がけた後、スーパーJチャンネル、スーパーモーニング、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。中国・朝鮮半島取材やアメリカ同時多発テロなど海外取材を多く手がける。またAbemaTVの立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などの番組を企画・プロデュース。2019年8月に独立し、多メディアで活動。公共コミュニケーション学会会員として地域メディアについて学び、顔ハメパネルのメディアとしての可能性をライフワークとして研究する。近著に『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社・2月22日発売)

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