BMWアルピナがタイヤ・ホイールの設定を絞る訳 歴史から見えてくる車両機能の絶妙なバランス

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当時アルピナのCEOを務めながら、モータースポーツ責任者として陣頭指揮を執っていたのが、創業者の長男であるアンドレアス・ボーフェンジーペン氏だ。BMW M3でDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)を戦い、BMW 320dでニュルブルクリンク24時間レースに優勝した元レーシング・ドライバーであり、7年半にわたりBMWドイツ本社に在籍、サスペンション開発とマーケティングを手がけた経歴を持っている。

アルピナ社CEOのアンドレアス・ボーフェンジーペン氏。BMWの技術者としてもレーシングドライバーとしても鳴らした彼は、アルピナへ戻ったあとも開発やレース現場の中心で陣頭指揮を採る(写真:ニコルオートモビルズ合同会社)

筆者はアルピナのクルマづくりの哲学について、ボーフェンジーペンCEOから2時間にわたって話を聞いたことがある。場所はニュルブルクリンクの耐久レースのパドックだった。

アルピナの製品がパワフルであると同時に非常に洗練されていることの秘訣を問うと、「それは秘密です」と笑うアンドレアス氏。「われわれの目標は調和の取れたクルマであり、それは馬力があるクルマとは限りません。燃費、サスペンション、インテリアなどアルピナにとって大切な要素が、つねにバランスされていることを重視しています」と語る。

アルピナ特有の、ビッグパワーに対応しながらスムーズな乗り心地については次のように説明した。「いいクルマはサスペンションの前後バランスがニュートラルで、充分にソフトでなくてはなりません。それにより駆動力を確保しタイヤの過度な消耗を避けられます。アルピナの乗り心地がいい理由の1つはサイドウォールが硬いランフラット・タイヤを採用していないことです」。

限られた数のタイヤ&ホイールしか設定しない

「加えて、1つの車種に非常に限られた数のタイヤ&ホイールしか設定しないため、サスペンションのチューニングにとても長い時間をかけられるのです。多くの時間はアウトバーンやワインディングロードなど、一般道での開発にあてられます。私がBMWに在籍した当時、数限りないタイヤと装備重量の組み合わせに対し、時間が限られる中で多くの種類のサスペンションを用意する作業には手を焼いた覚えがあります」

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アルピナはボディやエンジンブロック、トランスミッションといった核となるコンポーネンツをBMWと共有しながら、サスペンション、ホイール、タイヤ、吸排気系、冷却系といったパーツにおいては、BMWと同じメーカーでもセッティングが異なる特別仕様のものを用いる。こうした手法でダイナミックな性能と快適性や静粛性の絶妙な両立を図っているのだ。

最終回となる次回は、BMWアルピナの「売り方」と「買い方」にフォーカスする。

田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、PARCFERME編集長

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たなか せいじ / Seiji Tanaka

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。近著に「奥山清行 デザイン全史」(新潮社)。モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長を務める。

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