方南町に西高島平…なぜ「行き止まり」駅なのか 直通や乗り換え路線なし、延伸構想ある路線も

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綾瀬車両基地から少し北に行くと、埼玉県八潮市になる。綾瀬―北綾瀬間は、今では代々木上原方面から10両編成の列車も直通するものの、2019年春までは3両編成の列車が両駅間を行ったり来たりするだけの路線だった。もともとは車庫のためにつくられた線であり、延長して需要を喚起するということもなかったのだろう。

千代田線の綾瀬―北綾瀬間折り返し運転に使われる3両編成の車両(写真:traway/PIXTA)

では、同じく車両基地がある丸ノ内線の方南町支線はどうか。同線の終点は方南町だが、丸ノ内線車両が所属するほか、銀座線車両の検査なども行う中野車両基地は1つ手前の中野富士見町駅近くにある。

丸ノ内線の新宿―荻窪間は当初「荻窪線」という名称で、1961年に新宿―新中野間、中野坂上―中野富士見町間が開業した。中野富士見町―方南町間の開業は翌1962年だ。

方南町から先へ伸びれば便利だが

以前は中野富士見町までしか6両編成の車両が入線できず、方南町へは支線内で折り返し運転する3両編成の電車しか走っていなかった。車庫の都合なら中野富士見町まででいいのではないか、という意見も出てきそうだが、方南町への延伸は地域の利便性向上という目的があったという。

丸ノ内線中野富士見町駅の近くにある中の車両基地(写真:あやともしゅん/PIXTA)

実際に方南町に行ってみると、この地では多くの人が暮らし、商店街もあり、中野富士見町周辺よりも街としては栄えている。ここに地下鉄が来ていなかったら不便だっただろうと感じさせるところである。そういう意味では、地域住民のために方南町まで延伸するという考えがあったことは理解できる。

方南町駅は行き止まり式ホームのため、延伸を前提としていない。だが、駅から先へ方南通りを掘り進めれば京王井の頭線の西永福方面につながるということは、地図を見れば容易に思い付く。延伸構想もあったようだが、それは結局、公式な計画にはならなかった。実現していれば鉄道空白地帯の解消にもなりえたと思えば残念なことである。このエリアには高千穂大学があり、もし路線延長をしていれば通学に便利だっただろう。

このように、公式な計画にはならなかった路線延伸構想もあれば、計画として一度は可能性があったものの立ち消えになった路線もある。都営地下鉄浅草線だ。

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