東急社長が語る豪華列車戦略、「2本目」の可能性 「やはり狭い」田園都市線渋谷駅の改造どうする

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――田園都市線の混雑緩和策として渋谷駅のホーム改造を検討する(2018年9月10日付「東急社長が語る田園都市線混雑解消の『秘策』」)としていましたが、新型コロナを踏まえるとどうなりますか。

たかはし・かずお/1957年生まれ。1980年一橋大学法学部卒業後、東京急行電鉄(現東急)入社。2011年取締役、2014年常務取締役経営企画室長、2016年専務執行役員などを経て2018年から現職。(撮影:尾形文繁)

難しい質問だ。もともと、ピーク時における田園都市線の混雑率は180%を超えていた。しかしコロナ後においては、混雑率が150%でも嫌だろう。仮に130%くらいまで減らしたいという視点で考えると、やはり渋谷駅のホームは狭い。あとはそれをどのようなタイミングで整えていくか、継続的に検討していく。

――今後の鉄道の利便性向上策は。

2022年度下期に予定されている相鉄(相模鉄道)さんとの相互直通運転とか、あるいは羽田空港に乗り入れる空港線がどうなるかといった課題も含め、ネットワークの拡充はこれからも推進していく。また、着席車両のような輸送の快適性を高める取り組みにも注力していく。もちろん、新型コロナが収束しても清潔な車両は売りになるだろうから、換気をつねに行うといった取り組みも継続的に行っていく。

――有料着席列車をもっと増やしていくのですか。

そうですね。今はそんなにたくさんはないが、こういうものはいいのではないか。

終電繰り上げでバスの需要は変わるか

――鉄道の終電繰り上げで、深夜バスの需要が増えるのでは。

深夜の渋谷駅前に待機する東急バス=2018年(編集部撮影)

どうだろうか。深夜時間帯は鉄道だけでなくバスの需要も落ちている。鉄道が終電になる深夜時間帯にまだ人が動いているという状況は想像がつかない。ただ、バスは鉄道と違ってタイムリーに走らせることができるので、需要を確認できれば対応は可能だ。

――駅の利便性向上については。

駅を活用して商業施設を造るといった取り組みは昔からやっている。また、二子玉川のように職住遊を1カ所で完結できる拠点作りもコロナ前から行ってきた。これが結果的にはテレワークにもつながっている。当社ではNewWork(ニューワーク)という会員制テレワークオフィスを全国で展開しているが、当社沿線に集中的にあるわけではない。各駅に設置するというのも目指すべき一つの姿かもしれない。

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