東急社長が語る豪華列車戦略、「2本目」の可能性 「やはり狭い」田園都市線渋谷駅の改造どうする

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――駅の自動券売機で現金を引き出せるという「キャシュアウト」というサービスを2019年に始めましたね。普及していないように感じるのですが。

東急は駅の券売機活用を進めている。銀行預貯金を引き出せるサービス「キャッシュアウト」に続き、2020年にはスマートフォン決済サービス「LINE Pay」にチャージできるサービスも始めた(編集部撮影)

あまり普及していないかもしれない(注:現在は取り扱い停止中)。コロナのせいにするわけではないが、人が出かけて何かをするという行為が少なくなってきた。

――自動券売機のスペースをもっと有効活用できるのでは。

いや、自動券売機のスペースだけではちょっと狭い。しかもその裏側には駅務室があったりする。ただ、工夫の余地はあるかもしれない。

――駅に宅配ボックスを設置する例もあります。

宅配に限らず、いわゆるコンシェルジュサービスのような御用聞き機能を駅に拡充するという考え方は昔からある。ただ、それをどこまで展開するか。コストセンターになってしまう側面もあるので、なかなか「すべての駅で」というところまではいかない。

駅ナカの有効活用を考えたとき、事業性の観点から売店がいいのかニューワークがいいのか、それともほかのものがいいのかといった選択はつねに考えないといけない。最近は駅のすぐそばの古いビルに空室があったりするので、リメイクすればテレワークオフィスになる。わざわざ駅の中に設置しなくても、駅近くでも十分に機能する。

豪華列車2本体制はありうるか

――昨年8~9月にはJR北海道などと組んで、伊豆を走る豪華列車「ザ・ロイヤルエクプレス」を北海道で運行しました。

観光列車「ザ・ロイヤルエクスプレス」は昨年に続き2021年も北海道で運行予定だ(撮影:尾形文繁)

地域の活性化という目的は達成できたと思う。だが、今回はコロナ禍の中で行われ、お客様の数を絞らざるをえなかったので、事業としてはちょっと合わない。2020年は5運行する予定を3運行に減らした。2021年は7運行という計画なので、コロナが終わってくれないと塩梅が悪い。お客様の数を半分に減らしたとしてもお客様から倍の運賃を取るわけにもいかないので、どうバランスを取るかを見極める必要がある。

――北海道で運行する期間は伊豆で運行できません。

伊豆の人が焼きもちを焼いている(笑)。今は1編成なので、この事業を拡大するなら、複数本数持ったりしながらやらないと、事業の厚みがでてこない。その戦略は今構築中だ。

――2編成にして、うち1編成は北海道で恒常的に走らせるということですか。

そういう考え方もありうる。あるいは、今は空の状態で北海道まで運んでいるがもったいないので、行く途中に東北で営業するとか、いろいろなバリエーションがありうる。ただ、残念ながら線路は当社のものではないし、北海道では自力では動けない。当社単独ではできないので、こうしたいというアイデアがあっても、現実にはなかなか難しい。JR東日本さんも観光列車(トランスイート四季島)を運行しているので、競合になる可能性もある。

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