東急社長が語る豪華列車戦略、「2本目」の可能性 「やはり狭い」田園都市線渋谷駅の改造どうする

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──ホテル需要については。

2020年の五輪需要に対応するために従業員を採用し、教育を行ってきた。ようやくその態勢が整ったというところで五輪が延期になり、非常に苦しい。秋口からはGoToキャンペーンの効果もあって地方のホテルの稼働率は上がってきたが、東京の基幹ホテルの稼働率は3割程度にとどまる。地方から東京にやってくるという流れがもっと出てこないと厳しい。

インバウンドが戻るのは2023〜2024年ごろといわれているので、そこまで国内需要だけでどれだけ踏ん張れるか。1部屋でも多く稼働させるため、ホテルの部屋をテレワークオフィスとして提供するなどの取り組みもやっているが、大きなビジネスになるかどうかは未知数。経費を節減し、損益分岐点を下げていくしかない。

──新宿歌舞伎町で2022年度開業予定の再開発計画が進んでいますが、コロナ後を踏まえたものになりますか。

ホテル、映画館、劇場・ライブホールといったエンターテインメント施設からなる計画だった。しかし、コロナ前に考えたものをそのまま提供するわけにはいかない。2020年3月までに事業計画を詰める予定だったが、延期した。現在は内容がほぼ固まっており、例えばホテルの部屋を広くする、エンターテインメント施設の入場者数を半分程度まで減らす代わりに、動画配信をミックスして外からでも見られるといった展開を考えている。歌舞伎町の再開発はこれから始まるので、コロナ後に合わせたやり方ができる。

映画館にしても、既存の映画館は座席を100%稼働させるなら飲食は不可、稼働率が50%なら飲食OKといった制約がある。そこで、1人ずつのブースにするといったことも考えられる。付加価値を高めて客単価を上げる。オーバーにいえば1人5000〜6000円くらいの客単価にする分、それに見合った付加価値を提供する。映画を見に行ったのではなく、あの建物に行ってきたといえるくらいシンボリックなものを目指す。

次なる開発は新横浜

──渋谷、新宿歌舞伎町に続く再開発のターゲットはどこですか。

2022年度下期、相鉄線と東急東横線を結ぶ新線と新駅ができる。そのような新しい駅の周辺では何らかの開発をしていく。新線によって、新横浜にダイレクトにつながり利便性が高まる。そこに魅力的なビジネスチャンスが見込めると思う。

――新横浜の新駅は現在の駅の北側に造られますが、再開発されるのは駐車場などが多い南側でしょうか。

そうですね。でもどうなるかはわからない。不確定要素はリニア中央新幹線だ。リニアの開業によって大都市圏ができたときに新横浜の位置付けが上がるのかどうかについてはいろいろな見方がある。

――ほかのエリアは。

渋谷もまだまだ再開発の余地がある。今後10年でいくつかの計画が立ち上がると思う。

――コロナが収束すれば、今後成長できそうないろいろな計画があるということですね。

そうしないと会社が復元できないから(笑)。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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