衝撃の逃亡から1年「ゴーン」は何しているのか レストランやスキーを自由に楽しんでいるが
フランス刑事当局も捜査を進めているが、フランス当局は中でも特にゴーン被告がルノーに対しオマーンの販売代理店に虚偽の業務に対する支払いとして約1000万ドルを不正に送金させたという疑いを持っている。フランスの検察官らは2021年1月18日にベイルートにいるゴーン被告を訪問する予定で、ゴーン被告は主任弁護士のカルロス・アブ・ジャウデ氏と共に検察官らの質問に答える準備をしているという。
さらに12月初旬には、フランスの新聞『リベラシオン』は、フランスでの納税を逃れるためオランダに偽の税法上の居住地を設けた疑いにより、フランス税務当局が、ゴーン被告が所有する資産約1300万ユーロを押収したと明らかにした。
これまでのところ、ゴーン被告は犯罪者としての判決を受けてはいない。しかし、金への執着が非常に強く、あらゆる手段を使って金を手に入れようとする人物というイメージがこの1年でより強まった。
日本の司法制度に対する批判も
一方で、日本の司法制度に関するゴーン被告の主張もまた、正当化されている。ゴーン被告は逮捕されるや否や、日本の司法制度における重大な欠陥、特に日本の司法による恣意的拘禁を糾弾した。同被告は、国内外の研究者や弁護士らによる数十年に及ぶ日本の司法制度に対する否定的なコメントだけでなく、彼自身の経験から主張することができた。
国連の恣意的拘禁に関する作業部会はこのほど、刑事拘禁の分野における日本の人権侵害を次のように列挙した。
「警察の拘置所を刑務所代わりにし長時間の勾留を続けていること(代用監獄)、警察の取り調べに弁護士の立ち合いを拒否していること、起訴前の保釈制度がないこと、証拠隠滅の危険性が不明であるにもかかわらず、証拠隠滅を理由として勾留を容認していること、外部との接触禁止を裁判所が容認していること、施設内での治療が行われていないこと、社会活動が不可能となるような残酷な保釈条件であること」など。特に外国人については、現在時間制限なしで勾留することができる。
ゴーン被告自身は、ベイルートにあるアパートと、自身が日産代表取締役だった時代に会社が購入した家の両方で時間を過ごしている。ドキュメンタリー番組とテレビ番組制作のため著書の権利を売却しており、アメリカの映像配信大手ネットフリックスは、ドキュメンタリー作品を独自製作中だ。
ベイルートでレストランに行ったり、スキーに行ったりと自由な生活を送っているゴーン被告は、ゴーン被告はレバノンの大統領を含むキリスト教コミュニティに守られ、身柄引渡しを免れている。しかし、四国の大きさの半分ほどしかなく、情勢も不安定なレバノンで、身動きが取れなくなっているのもまた事実だ。
ブルームバーグの推計によると、弁護士費用や個人的経費によって、ゴーン被告の資産は1億2000万ドルから7000万ドルに縮小している。逮捕されて日本に送り返されるのではないかという恐怖もいまだ抱えている。日本の司法から逃れたとはいえ、自身が描いていた優雅な引退生活とは正反対の生活を送っている66歳のゴーン被告の未来は明るいものではない。
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