「危険な女神」歌手KATSUMIが見たバブルの裏 人気絶頂のときを経て、選びとった道

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その後は、リリースするたびにCMのタイアップが。

代表曲のひとつである『It's my JAL』は、JAL側と代理店で企業名も入れたCMソングを作りたいというアイデアが先にあり、曲が先行で完成していたところに、歌い手として僕の名前が出てきたそうなんです。運がいいことに作詞までさせていただきました。そういう縁もあり、今でも飛行機に乗るときはJALを選んでいますね。誰に頼まれたわけでもないんですが(笑)

JALのCMソングとして作られた『It`smyJAL』は大ヒットした(写真:Masanori Kato)

しかし“時の人”となるにつれ、こんな悩みも。

母親もレコード会社の人もすごく喜んでくれたし、素直にうれしかったです。当時、築いた人間関係は今でも財産になっていますね。ただヒットが続くにつれて、周りからは同じような曲しか求められなくなっていって……

タイアップからヒット曲が生まれていたものの、それが重荷に感じるように。

CMソングを歌わせてもらえるのは光栄なことではあるのですが、企業や広告代理店の意向も強くなっていくので自分のやりたいことと、求められていることに、どんどんギャップが生まれるようになったんです。

僕もまだ25歳ぐらいで若かったこともあり、自分の意見が通らないことにいら立つようになって……。今なら直しの注文が入っても、“はい、喜んで!”と言えるのですが、自分が一生懸命、作ってきたものを作り直してこいと言われたり、楽曲を作るうえでのプロセスで納得ができないことも続いて、悩むようになりました

アイドル扱いに感じたギャップ

爽やかなルックスゆえ、アイドル的な要求をされることも多かったと振り返る。

3枚目のシングル『Yes‘抱きしめて』のミュージックビデオの撮影現場に行ったら、突然“脱いでみようか”と言われ、上半身裸で撮影をさせられました(笑)。最初のころは僕もまったく断らなかったのですが、ロックが好きで歌手を目指したので、アイドル的な扱いを受けることにもギャップを感じるようになっていきましたね

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