コロナで観光業崩壊「ニューヨーク」の悲惨な今 観光業が主力産業になっていた都市の現状は

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仮にパンデミックが収束したとしても、国内旅行客に比べて滞在が長く、より多くのお金を落としてくれる国外からの旅行客は低調な状態が続くとみられる。ニューヨーク市観光局は、外国人観光客の数が2025年よりも前に2019年の水準に回復することはないと予測する。

ニューヨーク市観光局のフレッド・ディクソンCEO(最高経営責任者)によれば、「戻りの出足は非常にゆっくりとしたものになるだろう」。

観光業の復活はワクチン次第だが、保健衛生当局によれば、来年の初夏あたりまではワクチンの利用は広がらない。それまではニューヨークを訪れる旅行客はまばらな状態が続くため、この冬は多くの関連業者にとって厳しいものになる、とディクソン氏は話す。

大学を出ていない人々の仕事がなくなる

観光客が激減したことで、特に学歴の低い労働者が深刻な打撃を受けている——。こう指摘するのは政策調査機関「センター・フォー・ニューヨーク・シティー・アフェアーズ」で経済・財制政策部門の責任者を務めるジェームズ・パロット氏だ。パロット氏によると、観光業の雇用はパンデミック前の10年間で13万人増加、低学歴の労働者にとって観光業はニューヨーク市で最大の働き口となっていた。

「最近の観光業は景気が良かったため、大学を出ていない多くのニューヨーカーの実質賃金は大きく上がった」とパロット氏。しかし観光業の回復には時間がかかると予想されることから、「大学の学位を持たないニューヨーカーの実質賃金を着実に引き上げてきたホテルやレストランの仕事が大量に失われることになる。こうした仕事に就いている人々の8割は有色人種だ」

ニューヨークへの旅行や出張は3月半ばに停止状態となり、その後も足踏みが続いている。ニューヨーク市観光局によれば、今年はロックダウン前に推計1200万人がニューヨーク市を訪れたが、その後は残りの9カ月間の合計で1000万人に届くかどうかといったところ。コロナ禍の緊急対応で域外から応援に駆けつけた医療従事者などもすべて足し上げて、この数字だ。

新型コロナの感染拡大を防ぐために混雑したシェルターから移動させられた約9500人のホームレスの人々のために、60を超えるホテルが一時的な宿泊施設となっている。ホームレス受け入れに対し市は1室1泊あたり120ドルを支払っているため、ホテル側は多少なりとも売り上げを確保することができる。しかし、ホテルのホームレス受け入れをめぐっては一部地域で反発が起きている。

観光客がいなくなったことで、市内でツアーバスを走らせているトップビュー・サイトシーイングのような会社は大打撃だ。トップビューの営業・業務運営担当シニアディレクター、ジョナサン・ヘンガル氏によれば、全体の売り上げは3月以前と比べて9割以上も落ち込んだ。

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