岐路に立つグロソブ、修正を迫られるPIGS国債の大量保有
グロソブは格付けがA格以上のソブリン債券(国債など政府発行の債券)を主要投資対象としており、ギリシャ国債がその基準から外れそうになったためだ。実際、グロソブが売却後、スタンダード&プアーズ社はA−からBBB+へ、ムーディーズはA1からA2へ格下げしている。
ギリシャ国債の処分売りの結果、グロソブは為替差損と共に国債価格急落に伴う売却損を計上。高利回り獲得を狙ったつもりが、逆に損切りでマイナスリターンの投資結果となってしまった。
PIGS国債に過度なオーバーウエイトの理由
それにしても、なぜここまでPIGS国債をオーバーウエイトしたのか。
昨年5月、グロソブはギリシャとポルトガルの国債を新たに組み入れた際、投資家向けにリリースを出している。その中で両国について「金融危機の影響が小さく財政悪化が相対的に抑えられると考えられるにもかかわらず、ドイツ国債との利回り格差が拡大しており、利回り水準の面から投資魅力が高まったと判断」したと説明している。
結果的に、ギリシャについては旧政府の「粉飾」に裏切られた格好となり、ギリシャ危機のあおりも受けたポルトガル国債の下落で、こちらも運用成績の足を引っ張る形となっている。
ただ、ギリシャについては、今回の“事件”の前から「ユーロ圏内の問題国」とも言われ、同国の統計の信憑性について疑問視する見方が多かった。財政赤字だけでなく、経常赤字も深刻(外国資本への依存度大)という弱点もある。
ポルトガルについても、金融危機の直接の影響は小さいとしても、もともとユーロ域内の貿易依存度が高く、産業競争力が弱い。金融危機後に双子の赤字がますます厳しさを増している状況だ。組み入れ比率をベンチマークに対して2~3倍へ一気にオーバーウエイトするという投資判断には、やや違和感が否めない。