ただ、このまま手をこまぬいて見ているわけにもいかない。
すでに、経営が成り立たず、潰れてしまう店舗も出始めている。この状態が長く続けば、全部のライブハウスやクラブが潰れてしまう可能性だってある。
「もちろんこういう事態の中では、クラブが最初に営業中止になって、最後に営業再開になるのも仕方がないことだと思います。でも、ライブハウスやクラブ全部が潰れてしまったら、コロナが去っても復活できなくなります。だから苦手な配信でもなんでも頑張って、存続させないといけない。
幸い配信で普段遠くて会場に来られないような新しいお客さんが増えたり、今までは皆無だったオンラインのノウハウや経験も蓄積されてきたりしています。これらはコロナ禍が去ったあとにも役に立つだろうと思っています」
いろいろ活動は続けるものの、それでもコロナ禍以降は時間が空いた。
その時間を使い、輪入道さんは自叙伝を書くことにした。
「実は2年前からお話自体はいただいていたんですが、保身を考えながら書いていたのと、まとまった時間がなかなか取れなくて思うように書き進みませんでした。
この機会に集中して書こうと思いました」
輪入道さんは、すべてをさらけだすことにした。
いじめられていたこと、突発性難聴になったこと、など人生の“恥”だと思える部分も勇気を持って書いた。
「覚悟して全部書きました」
「自分の“恥”を書かずに、自画自賛をして『これが自分の人生です』って世の中に出すことはできないと思ったんです。覚悟して全部書きました。叩かれるのは仕方がないと思います。ただ読んでくれた人を悲しませてしまったなら、本当に申し訳ないと思います」
輪入道さんはそもそも、小さい頃には物書きになるのが夢だったという。
今回、1冊目の本を出してみて、どのような気持ちになったのだろうか?
「本ができて目にしたら、めちゃくちゃうれしかったんですよ!! 自分の言葉が本になっているというのがすごくうれしくて、思わず朝まで読んでいました。
自分に何が書けるのかは全然わからないんですけど、これからも機会があれば本を作ってみたいですね!!」
と、輪入道さんは、とびっきり明るい笑顔で答えてくれた。
まだまだ先が見えない日々が続くが、ラッパーとして、文筆家として、さらなる活躍を見せてもらいたいと思った。
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