元体育教師「ハーバード卒」起業家松田悠介氏の原体験 情熱を持って教え、学べる教育をどうやるか

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たとえビジョンがあっても、実際には働きながら海外留学のための勉強をするのは大変だし、モチベーションを維持し続けるのはなかなか難しい。松田氏も何度も苦しんだというが、そのとき助けになった効果的な方法があるという。

「まず人に宣言して、その目標から逃げられないようにすることが大切です。そのために私は『体育教師がハーバードを目指す遠き道のり』というブログを立ち上げました。そうやって周囲に言うほど、自分の言葉として思いが強化されていく。もし他人から『できっこない』と批判されても、努力して応える。それを続けていけば自分が洗練され、やがて目標に到達できるのです。

もう1つ大事なことは習慣をつくることです。例えば、トレーニングを毎日するために、ベンチプレスをつねに枕元に置いておくといったような。人間は必ず堕落する生き物だからこそ、その前提を受け止め、弱みを克服するための習慣をつくることが大切なのです」

松田氏は毎朝4時半起き。「起きるのがつらいときは、カウントダウンを始めて起きるといい」と話す。筋トレも日課で、写真はオフィスにある懸垂マシンだ

そんな松田氏が現在、海外留学の支援をしているのは流行のグローバル人材を育成したいからではないという。それよりも、自分は何者で、どこへ向かっていきたいのか。それを大学進学の段階で考える機会をつくることが重要だという。しかし、その体験は今の日本ではできない。そもそも有名大学に入るために、法学部と経済学部を併願するのはおかしいし、就職においても自分の本質と向き合って活動している人がほとんどいないと指摘する。

「だからこそ、要所、要所のタイミングで自分の意思と向き合うことが必要なのです。その意味で海外進学はわかりやすい取り組みだといえます。情熱を持って学ぶからこそ、世界観が広がるし、自分のような人間でも世界の舞台で戦えることがわかるのです」

松田氏は、これから日本の教育をどう変えていきたいのだろうか。

「AI社会の到来に危機感を覚える人がいますが、実際には人がやりたくないことをやらなくてもよくなる社会が来ると考えています。いわば、それぞれが好きなことを徹底的に探求できる時代がやって来るのです。その意味で、教育の世界でも情熱や面白みを感じられない学びに時間を拘束している今の学校教育から子どもたちを解き放っていきたいと考えています。

子どもたちはお金では買えない貴重な時間をたくさん持っています。しかし、今の子どもたちが学びの意義をどれだけ自覚しているのか。目的意識のない空間にどれだけ拘束されているのか。それは近代教育の罪です。私が今やりたいことは、オンライン教育を使って、そこから子どもたちを解放することなのです。

今年4月にニュージーランド政府の公認が下り、オンラインのインターナショナルスクール Crimson Global Academy を開校しました。世界でトップクラスの教育者を集め、オンラインテクノロジーを駆使し、11〜18歳の児童生徒に効率的に最高の教育を届けています。子どもたちは空いた時間で自分の『好き』を徹底的に探求することができるのです。オンライン教育の可能性は無限です。この領域でフロントランナーになれるよう、全力で走り抜けたいと思います」

(撮影:今井康一)

制作:東洋経済education × ICTコンテンツチーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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