日米の9月相場は本当に「大波乱」になるのか 米ハイテク株の急落が今後を暗示している?
そして、翌4日の雇用統計発表となったわけだが、ここは詳細に記述してみよう。非農業部門雇用者数は+137.1万人と予想の+135.0万人を上回った。また、平均時給も前年比+4.7%(予想+4.5%、7月+4.7%)、失業率は8.4%(予想9.8%、7月10.2%)と1桁台に戻ってきた。
これを好感して一時はドル高・株高(NYダウは一時247ドル高)になるほどだったが、前日の大幅安で不安感を増した投資家の売りが続き、NYダウは一時628ドル安まで急速に下げた。しかし、その後はじりじりと値を戻し、引け近くにはプラスになる場面もあったのである。3連休を前にした神経質な動きだが、高値から875ドル下げ、その安値から469ドル戻ったこの日の値動きで、今回の高値波乱の調整は終わったと言える。
ひとまず高値波乱は終了、今後の頼りは企業業績
一方、先週末の日経平均株価は一時350円安となった。だが、その後は下げ渋り、4日は2万3200円を維持して引けている。首班指名のスケジュールも決まった。「アベノミクス終焉か?」との不安が完全には払拭されていない局面でのNY株の波乱は、日本の多くの投資家の心に不安感を与えた。
だが、前述のように、ひとまずこの局面は終わった。NY株もレーバーデー(今年は7日)の連休明けから仕切り直しの相場が始まると思う。だが、カネ余りのバブル相場がいつ崩れるか分からないという恐怖を投資家に与えたことは事実であり、今後もトリッキーな相場が続きそうだ。特にGAFAM(ガーファム)と呼ばれる代表的なハイテク株に対するバブル感が認識されたこともまた事実だ。
それでも、この不透明な中で日経平均は2万3000円台を維持している。これに対して売り方が大勝利をするためには、あとどんな条件が必要なのだろうか?
筆者には、今回の波乱劇は売り方の焦燥感が高まっただけに終わったように見える。ただし、買い方にとっても明確な買い上がり理由が見つかったわけではない。(筆者は『金融引き締め』以外に下がる理由はなく、買い方は、バブルと言われようが、エコノミストの警戒論が出ようが、『金融引き締め』までゆっくりこの相場を楽しめば良いと思っているのだが)。
最後に、今週の重要指標を見てみよう。日本株に影響するスケジュールを拾うと、8日の4~6月期GDP確報値あたりから始まるが、筆者は週末11日の7~9月期法人企業景気予測調査が最も重要と考える。
この指標は、前四半期と比較して「上昇」とする企業の社数構成比から「下降」とする企業の社数構成比を引いたもので、全産業4~6月期は-47.6%ポイントと、新型コロナウイルスで経済活動が止まった様子を表していた。今回の予想は-6.6%ポイントと回復の見込みでだが、「ウィズコロナ」の経済下で企業努力の結果が見えるかどうか。
さらに重要なのは、10~12月期だ。+2.3%ポイントとプラスに転換するとの予想が出ているが、果たしてどうなるか。この「7~9月期急回復、10~12月期プラス転換」をしっかり見届けたい。NY市場において、ハイテク株のバブル感が匂い始めた今、頼りになるのはやはり企業業績だ。
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