ICTが社会のEssential Techになる意味 デジタル化の波はあらゆる領域に押し寄せる

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、ICTは社会のEssential Techとなった。総務省が発表した「令和2年版情報通信白書」では、ICTが国民生活や経済活動の維持に必要不可欠な技術となり、デジタル化が進まなかった領域にもデジタル化の波が押し寄せている、と指摘している。教育領域もデジタル化に邁進している中、ICTの現在地と未来予想図を把握する意味は少なくない。白書のエッセンスを解説しよう。

5Gによる遠隔教育の効果とは

Before CoronaとWith Corona。「令和2年版情報通信白書」では、今後、人の生命保護を前提にサイバー空間とリアル空間が完全に同期する社会へと不可逆的な進化を遂げる、と予測。ICTが果たす役割も、産業の効率化や高付加価値化を目指してきた感染症発生以前とはフェーズが異なると分析している。

新たな生活様式や多様な働き方が浸透する個人。データの最大活用とオンライン化を前提とした柔軟かつ強靭な企業。そして、デジタル基盤とデジタル技術の活用を前提とした分散型社会。個人、産業、社会、それぞれのレイヤーで大きな変化が起こり、新しい価値の創出につながっていく。そこでは、5Gをはじめとするデジタル基盤、IoT、ビッグデータ、AIといったデジタル技術の存在感が高まっていくことだろう。

振り返ると、日本の移動通信システムは1979年の1G導入以降、約10年おきに世代交代を繰り返し、機能が進化するとともに利用者数も拡大させてきた。今年3月からは5Gの商用サービスを開始。IoT時代の基盤として、さまざまな産業での実装が期待されている。

例えば山岳登山者の見守り実証試験。ドローンから撮影した4K映像を、山岳救助本部と救助隊員に5Gでリアルタイムに伝送することで迅速な現場の状況確認と登山者の状態把握を可能にする。また、高速道路で実施したトラック隊列走行の実証試験では、5Gの超低遅延性を活用した10m間隔の車間距離制御を実現。ほかにも、クレーン作業で運転台から死角になる場所を4Kで撮影した高精細映像を5Gで送信することによってオペレーターの安全な作業を支援するなど、さまざまに想定される事例を積み上げている。

もちろん、教育領域の事例も取り上げている。その1つが遠隔教育と教師支援。5Gの超高速、大容量かつ超低遅延の特徴を生かし、映像を活用した双方向かつリアルタイムでのインタラクションが実現すると紹介している。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事