ICTが社会のEssential Techになる意味 デジタル化の波はあらゆる領域に押し寄せる
拠点間の遠隔授業では、地域の制約を超えて専門性の高い指導者の授業を提供することが可能となり、教育機会の地域間格差の是正策として有効であると指摘。また、遠隔教育によって地域と都市部との交流促進も期待している。
一方、5Gの利用者である個人の期待はどうか。総務省(2020)「データ流通環境等に関する消費者の意識に関する調査研究」の中から教育関連項目を抜き出すと、「高解像度で低遅延な環境で映像を双方向でつなぐことにより、遠隔地からの講義や臨場感のある外国語学習をリアルタイムで受けられる機能」について、20代は55.5%が無料であれば利用したいと回答。有料でも利用したいと回答した割合も10%に達した。「通信教育や子どもの稽古事などの教材(映像を含む)を学校や学習塾などから送ってもらえる機能」について、20代、30代、40代いずれも、無料であれば利用したいと回答した割合が50%を超えている。この調査を実施したのは新型コロナウイルス感染症が拡大する前。いわばBefore Coronaでの意識を反映したものだ。With Coronaでは、異なる結果が出ているかもしれない。
超スマート社会の3つのキーワードとは
10年ごとの世代交代を当てはめると、次のタイミングは2030年が想定される。白書も2030年代には、サイバー空間とフィジカル空間の一体化が進展し、フィジカル空間で不測の事態が生じた場合でもサイバー空間を通じて国民生活や経済活動が円滑に維持される強靭で活力のある社会が実現すると展望している。
そうした社会をつくるキーワードとして、包摂性、持続可能性、高信頼性を列挙。そして、私たち一人ひとりが準備をする必要性を挙げている。まず、データの価値を理解し、活用できるよう整備を行うこと。次に、現状に満足しないよう「空気を変える」こと。3つ目が個としての能動的な生き方を選択することだ。
8月に刊行された『令和2年版文部科学白書』でも、GIGAスクール構想に紙幅を割いている。教育とEssential TechとしてのICTはますます切り離せない関係になっていくことだろう。ICTを活用しない企業戦略や新しいテクノロジーが考えられないように、これからの教育を考えるに当たっても、ICTの基本的な知識は必須の教養になっているのではないだろうか。(写真:iStock)
制作:東洋経済education × ICTコンテンツチーム
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