差別集団と戦う「Kポップ軍団」のTwitter活用術 敵はトランプによる世界平和信じる陰謀論者
5月25日に黒人のジョージ・フロイドがミネソタ州ミネアポリスで警察官に殺害された事件をきっかけに全米で反人種差別抗議行動が広がりだすと、Kポップファン層のこうした活動はさらに活発になった。
ハッカー集団が戦いに参加
Kポップファンのターゲットになったハッシュタグには大量の投稿が流れこむため、トピックの多くがソーシャルメディア・プラットフォームでトレンド入りする。だがトピックをクリックすると出てくるのは、K-POPビデオやGIF、ミームばかりというわけだ。6月4日には、トランプ政権を支持する陰謀論者の集団Qアノンが新たな標的になった。
Kポップファン集団による活動が活発になったのは、デジタル抗議運動のパイオニアとして知られる世界的なハクティビスト(政治的な動機でハッキングを行う活動家)のネットワーク「アノニマス」の復活と時を同じくしていた。Kポップファンとリンクしたアノニマスの新しいムーブメントは#OpFanCamのハッシュタグのもとで展開されている。
700万人以上のフォロワーがいるアノニマスのツイッター@YourAnonNewsには、6月3日にこんなツイートが投稿された。「匿名のすべてのKポップの仲間たちよ! 地球をハックしよう!」
「われわれはみんなにBlackLivesMatter(BLM、黒人の命は大事)を理解してほしいし、BLMキャンペーンのために、あらゆる手を尽くすつもりだ。問題は警察の残虐行為であり、不当な人種差別のシステムだ」という5月31日のアノニマスのツイートは、最終的に10万件以上の「いいね」を集めた。
アノニマスの別のアカウント、@YourAnonCentralは、Qアノンのハッシュタグを再び標的とし、KPOPファンと一緒に攻撃すると宣言した。
「ファシストのハッシュタグは、今やKPOPやアニメの投稿であふれ、何がなんだかわからない状態になっている。アノニマスの#OpFanCam部門は第2ラウンドに進む。陰謀ファシストの連中をもう一度懲らしめよう」
この共同キャンペーンでは、Qアノンのフォロワーがしばしば使うハッシュタグ#WWG1WGA(「われら一丸となって共に進まん」の略)もターゲットになった。
Qアノンの陰謀論は2017年にさかのぼるといわれ、匿名掲示板4chanから生まれて現実世界に広がったと考えられている。
彼らの陰謀論の支持者は、ドナルド・トランプ大統領の声明や行動に秘密のメッセージが潜んでいると主張。以前は政府内の誰かが「隠れた国家」に関する情報を漏らしているとにおわせていた。
名誉毀損防止連盟(ADL)のウエブサイトによれば、Qアノンの「支持者は、ハンドル名Qと名乗る人物に従い、世界の政府は小児性愛者のあやしい秘密結社によって支配されているが、最終的にはトランプ大統領によって正義が行われると信じている」。
Kポップ集団の運動はすっかり定着したようだ。最近も、差別的なハッシュタグ#goBaldforBLMが注目を浴びるとKポップ軍団がすぐに参戦、Kポップのクリップでスレッドを埋め尽くした。
(筆者:ジェイソン・マードック、翻訳:栗原紀子)
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