迫る都知事選、都民喝采「小池劇場」の光と影 過去最多得票を狙うも、学歴詐称疑惑が再燃

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小池氏は7月に68歳となる。都知事再選で任期を全うすれば、その時点で72歳。その頃には政界の世代交代も進み、小泉進次郎氏ら次世代リーダー候補が台頭して、小池氏の出番もなくなる可能性が大きい。「小池氏が総理の座に挑戦できるのは、次の衆院選出馬しかない」(小池氏周辺)というわけだ。

しかし、「それこそ、取らぬ狸の皮算用」(首相経験者)でもある。まず、東京でのコロナ早期収束に失敗すれば、小池氏の責任も厳しく問われる。その延長で東京五輪が中止に追い込まれれば、「次への跳躍台を失う」(自民都連)ことになる。その場合は「勇退どころか引責辞職で政治家人生も終わる」(同)ことにもなりかねない。

学歴詐称疑惑が再燃

さらに、都知事選目前に学歴詐称疑惑が再燃したことも、小池氏を追い詰める。5月末刊行の『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋)で、改めて「カイロ大卒」という小池氏の最終学歴への疑問符が突き付けられているからだ。

小池氏周辺は「これまで何度も問題視されたが、すでに決着している」と疑惑自体を否定する。しかし、著者の調査は詳細を極めており、永田町では「小池氏の野望達成へのアキレス腱になる」(自民都連)との声も少なくない。

緊急事態宣言の全面解除を受けて、小池氏は6月1日から大幅な自粛解除に踏み切った。ただ、直近の感染者数の増加は「第2波襲来」のリスクもはらむ。

政界関係者の間では小池氏は「有事の政治家」との位置付けだ。即断即決を好み、それを効果的にアピールする抜群の発信力を持っている。今回のコロナ禍のように、誰にも予測不能な事態には「熟慮より拙速」が、強いリーダーの証しともなる。

小池氏のコロナ対策は「理屈よりも勘が優先している」(都庁幹部)のは事実だ。「重大局面」「ロックダウン」などの小池語は、メモを棒読みする安倍首相をアピール力で圧倒したのは間違いない。

希望の党の失敗でいったんは見失ったはずの「初の女性総理」という夢。今回の都知事再選後の約1年間が「夢よもう一度」のチャンスとなるのかどうか。「女勝負師」を自認する小池氏自身も、まだまだ見極めがついているとは思えない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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