ポルシェ911の後部座席に大男は乗れるのか? 車検証に「定員4名」と確かに書いているけども

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で、ここからが本題だが、カッコいい長身のふたりが、家内を迎えにミュンヘン空港に乗りつけたのは911。

今なら、4人の大人とたっぷりの荷物が積める、カイエンも、パナメラも、マカンもある。でも、当時のポルシェには、まだ911しかなかった(カイエンのデビューは2002年)。

家内も、出迎えてくれたクルマが911だったのには「カッコいい!」と感激したという。でも、同時に「911の後席きつそう」と思ったそうだ。当然、小柄な自分が後席に乗るものと思っていたからだ。

ところが、日本広報のAさんが後席に。家内は恐縮して、「私、小さいから後ろに乗ります」と言ったらしいのだが、Aさんは「いえいえ、ご心配なく」と……。

長身180cm超えの大男もOKだった!

「911の後席、あんなに大きい人も乗れちゃうんだ……ビックリしたわ!」と家内は言っていたが、僕もビックリした。

上記のように1992年にも同様なことを体験していたが、なにせAさんは180cm超えの長身。

後に、そのことを謝ったら、Aさんは「いや、僕、身体柔らかいですから……」と笑顔で遮られた。

ただ、「奥さまが軽装で助かりました。Sもそう言ってましたよ!」と言われた。

軽装といっても、短パンにスニーカーといったことではない。小さめのショルダーバッグに、最小限の身の回りのものが入るくらいのトートバッグだけ、ということ。

元々、家内は旅の荷物が少ない。僕の小型トランクかボストンバッグにチョコチョコっと着替えを詰め込むくらい。必要なものがあったら旅先で買えばいい……といった考えだ。

911に3人乗る……そんなとき、いちばん困るのは大きな荷物だろう。そんなことで、軽装な家内はポルシェ広報Sさんに気に入られ、クリスマスには、Sさんから家内宛にカードとプレゼントが届けられた。

プレゼントは、美しい赤、素晴らしく上質なカシミヤのストール。今も愛用している。

「素敵な男性ふたりにエスコートされて、ポルシェ911で出迎えられて、クリスマスカードとプレゼントまでもらって」……「あの旅は素晴らしかった!」と、家内は今も言う。

911に大人3人で乗った……他愛もない話しだが、忘れがたい思い出になっているのは、やはり911の魔力ゆえなのだろう!

(文:岡崎宏司/自動車ジャーナリスト)

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