コロナ禍中でも離婚調停をサクサク進める方法 「3密」の裁判所はもう紛争解決の場ではない?

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昨年、『協議離婚した男女の9割が不満タラタラのワケ』でもADRについて触れましたが、読者の方々から「ADRを初めて知った」「こんな便利なものがあるんだ」といった感想をたくさんいただきました。

大きな反響に驚きましたが、「家族のためのADRセンター」代表の小泉道子氏いわく、「ADRを食事に例えるなら、“おうちごはん”と“外食”との間の“中食”ですね」とのこと。ADRは、「当事者間における交渉」と「裁判所による法律に基づいた裁断」の中間にあたる解決方法といえるからですが、これって、紛争問題を「Uber Eats化」しているようなものでもあるかもしれません。

本来、夫婦問題の解決には「当事者同士の話し合い」がいちばんだと思います。しかし溝が深まってしまった夫婦間では、互いに主張を繰り返すことが多く、どこまでも平行線で落としどころが見つかりません。そんな解決策は、時間やコストを無駄にするもの。もはや修復できないというのであれば、当事者同士の話し合いとは別の公平な解決方法によって、1日も早く新しい人生を歩んだほうが幸せだと思います。ADR調停は、その方法の1つです。

外出自粛でも離婚調停をサクサク進められる

では、実際のADRとはどんなものでしょうか。前出の小泉氏からこんな興味深い話を聞きました。

「ADR調停を選択する夫婦には特徴があります。離婚するうえで、『10対0』で自分のほうがすべて有利な条件を望んでいる、というような方々ではないのです。むしろ『妥当な落としどころ』を望んでいて、『損はしたくないけれど、自分のほうだけが得をしたいわけではない』というような方が多い。ですから、ADRは『どれだけ争ってでも、相手の非を許すことはできない』といった戦闘モードの夫婦には向かないと思います」

逆にいえば、戦闘モードの夫婦でない場合、ADRで解決するメリットは多いとのこと。一言でいえば、ADRは利便性が高い。新型コロナで自粛モードの中でも調停を行うことができるのです。

【ADR調停の5つのメリット】
① Zoomやスカイプ、電話で調停が行える
② 夜間・休日の対応もできる
③ コストが安い
④ 回数を控えて行えるので、期間が短い
⑤ 「夫婦同席」で話し合いを行うため、相手の感情の温度がわかる
次ページ料金も手頃で、「コスパ」は抜群
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