イオンが前期最終赤字の最大要因、米国衣料品専門店タルボットとの資本関係解消へ

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 08年2月期のイオンの決算時に、タルボットは220億円もの最終赤字に転落した。これを受け、不採算だった紳士服やキッズ部門、英国やカナダから撤退したものの、09年2月期は571億円と赤字幅は拡大。債務超過にも陥り、いよいよタルボットの処遇決定は一刻の猶予も許さない状況になった。「過去にも直近にも経営ミスをした」と岡田社長は振り返る。

赤字幅拡大にもかかわらず、イオンはタルボットへの支援を続ける。09年2月に2億ドルを融資しただけでなく、タルボットの銀行借入の債務保証も行った。6月には不採算ブランドの「ジェイ・ジル」売却も完了させ、さらに香港のコンサルタント、リー&フォン社を招き、在庫圧縮や商品の見直しも強化した。方々に手を尽くして迎えたタルボットの第3四半期(09年8~10月期)決算は、黒字転換にまでこぎ着けた。6月のジェイ・ジル売却時には「(タルボットの処遇は)具体的に決まっていなかった」(イオン)。多額の支援金をつぎ込んだとはいえ、黒字化でタルボット再生の道筋を示し、結果的に「売却」という現状で最も有利な選択肢をたぐり寄せた。

イオンはグループで「3つの爆弾」(原田昭彦取締役)を抱えている。減益の厳しい国内総合スーパー(GMS)と設立以来赤字が続いているイオン銀行、もう一つが今回のタルボットだ。その一つが解決方向に向かったことで、イオンは本業であるGMSの改革に全勢力を振り向ける。手始めに10年2月にはイオンの食品スーパー事業を担うMV各社をイオンリテールから分離する。イオンGMSの中核会社であるイオンリテールからSM事業切り離し、GMS改革の効果を一段と高める準備を進めるためだ。

09年3~5月期に営業赤字となったイオンリテールは、残業時間の見直しや水道光熱費の圧縮で、3~8月期には営業黒字に転換した。逆に赤字となったイトーヨーカ堂やユニーなどの同業他社に比べて改革は進捗している。だがそれでも大幅な減益基調には変わりない。冬季賞与が前期比約2割減少し、消費者の購買意欲の回復は依然見込めない中で、GMSの改善をどのように達成するのか、いよいよ改革の真価が問われる。

(鈴木 良英=東洋経済オンライン)

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