イタリア、先進国なのに「医療崩壊」寸前な理由 普通の病院が「トリアージ」病棟になっている

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その写真を撮った同僚のフランセスカ・マンチャトーダは11日にイタリアのテレビ番組で、ウイルスの感染拡大を防ぐため、みな自分の身を守るようにと話した。「そうしなければ、医療は崩壊してしまう。まだ崩壊していなければの話だが」。

ベルガモにあるパパ・ジョバンニ(聖ヨハネ)23世病院の呼吸器科の責任者であるファビアノ・ディ・マルコは、もうオフィスで寝るのにも慣れてしまった。彼は3月12日に、医師たちは文字どおり「病院の汚染されている区域とそうでない区域を分けるため、地面に線を引いている」と話した。汚染されている区域では、手に触れるものすべてが感染源だと考えられている。

患者間を比較して評価することも起こりうる

ベルガモの首長であるジョルジョ・ゴリによると、ロンバルディア州では時に、大勢の患者の流入に医療資源が追いつかず、「非常に高齢の患者には気管挿管をしないという決断を、医師がせざるをえない」という状況に追い込まれることがあるという。手当てを受けられなかった患者は、死を待つしかない。「もっと集中治療室があったら、もっと多くの命が助けられるのに」とゴリは言う。

ディ・マルコはゴリの発言に異議を唱え、全員が治療を受けていると言った。それでも、こう付け加えた。「現在のところは、一部のケースではあるが、患者間で比較をして評価するということが起こりうる」。

3月12日には、「イタリア麻酔・鎮痛・蘇生および集中治療協会」代表のフラビア・ペトリーニが、同協会がガイドラインを発行したと述べた。戦時下の「壊滅的な状態での医療」に近い状況が生じたときに、何をすべきかを示したものだ。

ガイドラインには、「医療資源が大幅に不足したときには、(集中治療は)それが成功する可能性が最も高い人や、生存する望みが最も大きい人」に優先して提供されるべきだと書かれている。

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