最後に、業種ごとの取得率の平均値をご紹介しよう。3社以上の業種で最も高かったのは石油・石炭製品の76.2%(3社)。続いて、電気・ガス業の76.0%(11社)。ほかに輸送用機器71.1%(46社)、ガラス・土石製品65.4%(11社)、情報・通信業60.7%(51社)などが高かった。
一方で最も低いのは倉庫・運輸関連業33.6%(9社)。ほかに建設業34.8%(42社)、小売業35.3%(49社)、不動産業36.3%(18社)といった業種が下位となった。
ただし、こうした下位業種も昨年に比べると、いずれも比率は上昇している。上昇ポイント幅の大きい順に並べると、小売業は昨年31.2%(43社)→35.3%、建設業32.1%(41社)→34.8%、倉庫・運輸関連業32.6%(10社)→33.6%、不動産業36.0%(15社)→36.3%と改善している。
特に小売業では、水準はまだランキング外だが、取得率の上昇が顕著な企業が目についた。
たとえば、山口県地盤の食品中堅スーパー丸久。3年平均は55.4%の335位だが、その推移を見ると、10年度49.8%、11年度50.3%、12年度66.0%と大幅に向上している。会社が率先して有給休暇の積極的取得を周知徹底することで、成果を上げている。
504位丸井グループ(45.7%)も12年10月より半日有給休暇取得制度を導入し、10年度43.3%、11年度43.7%から12年度には50.0%へと向上した。
このように自社の努力で有給休暇取得を推進すれば、従業員が余裕を持ってメリハリある働き方ができるようになる。ゆとりある環境でないと、なかなか創造性の高い仕事はできない。
ワーク・ライフ・バランスの充実が人材のレベルアップにつながり、結果的に企業の力を上げることも期待できる。
有給休暇は取得率の高い製造業に対して、これまで十分に取れていなかった小売業などで、どのように取りやすくするかが大きな課題となっている。休暇の格差により優秀な新卒者が敬遠するようになると、業種間での人材バランスも悪くなる。今回紹介したような先進的な各企業の取り組みが業種全体に広がることを期待しながら、今後も注目していきたい。
さて、小社では今回、ご紹介した3年間の有給休暇取得率などの情報をまとめた『東洋経済CSRデータeBook2014休暇取得編』を電子書籍で発行している。
2010~2012年度の有給休暇(付与日数、取得日数、取得率)、ボランティア休暇・休職、青年海外協力隊参加に関する制度の有無と制度利用者数など、従業員が取得できる休暇情報を1148社掲載している(会社によって情報量の差はある)。
今回の記事と併せて日本企業の社会貢献の取り組みについて考えるための資料としてご活用いただきたい。
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