「映画ビジネスを学ぶなら、絶対にロサンゼルス」な理由《ハリウッド・フィルムスクール研修記9》
その意味では、日本の広告代理店は同じ社内に広告主のことを熟知した社員とテレビ局と強いつながりを持った社員が同居しています。ハリウッドが暗中模索しているブランデッド・エンターテインメントの分野では日本の方が環境が整っている、と感じました。
続々と登場する業界のリーダーたち
11時からは「The New Music Landscape」。全米最大のチケット販売会社・チケットマスターのCEO、アービン・エイゾフ氏とのQ&Aセッションです。
チケットマスターは今年2月に世界最大のコンサート興行会社ライブネーションとの合併を表明しており(現在、米国司法省が審査中)、当然参加者の注目も司会の質問もそこに集まったのですが、うまくはぐらかされ、音楽業界の将来に関する話題に。
この10年でCD売上枚数が半分に減ってしまったレコード業界に対し、「(12曲前後をセットで売る)既存のアルバムフォーマットはすでに死滅しかけているが、携帯電話会社による月会費制の楽曲ダウンロードや、ウォルマート等の流通限定で販売している廉価版CDは売り上げが伸びている。アルバムフォーマットが完全に消滅する前に、利益を新たな収益源に積極的に投資すべき」とアドバイス。
最後は、イーグルスからガンズ・アンド・ローゼズまで大物ミュージシャンのマネジャーを務めた経験から、「ミュージシャンとファンにとって良いことは、必ずビジネスになりうる」と自らのポリシーを披露。映画業界以上に厳しいレコード業界へのポジティブな姿勢で締めくくりました。
午前中の最後は、この日一番の注目イベント「The Future of Agencies」。アメリカのエンターテインメント業界で強い影響力を持つ、4大タレントエージェンシー(CAA、WME、ICM、UTA)のトップが一堂に会するセッションです。
彼らはお互いに俳優や映画監督、しまいには社員を引き抜き合う犬猿の仲。司会者も「4大エージェンシートップが公の場で一緒になるのは史上初であり、今後も2度とない」と語っていました。