中国経済を「GDP成長率」で語ることの限界

政府は2020年まで6%維持を目指すが…

1月17日に中国の昨年のGDPが発表された(写真:キャプテンフック/PIXTA)

2020年は日中両国にとって重要な節目の年だ。日本では東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、大いに盛り上がることが期待されている。中国にとっては第13次5カ年計画(2016年-2020年)の最終年であり、経済成長の減速に歯止めをかけねばならず、景気の行方から目が離せない。さらに4月には習近平国家主席の訪日が予定されている。

一国の経済活動を測る指標としては、GDP(国内総生産)がよく用いられる。中国は1978年の「改革・開放」以降に驚異的な経済成長を遂げ、GDPは右肩上がり。2010年にはついに世界第2位の経済大国となった1人当たりGDPも2019年には1万ドル超にまで飛躍的に伸びた。中国人の生活水準は確実に向上している。しかし近年、GDP成長率は鈍化傾向が続く。2019年のGDP成長率は前年比+6.1%と、プラス成長ではあるものの1991年以降では最低の水準だ。

中国の貧困人口は約1660万人

中国政府は従来の大量投資・輸出主導の経済発展モデルから脱却し、「質の成長」を求める新しい未来像を描き出そうとしている。2017年秋に開催された共産党大会では、包摂的な成長と質の高い発展の実現を目標とする方針が示された。その一環として、2020年に小康社会の実現を目指し、2020年のGDPを2010年比で倍増することや、貧困撲滅に向けた取り組みに注力している。

前者のGDP倍増を達成するため、2020年までGDP 成長率6%台を維持しようとする姿勢は変わらない。後者の貧困撲滅の場合、ここ数年、貧困地域にも経済成長の果実をもたらすよう、移住推進や教育の整備、産業支援など多くの対策を打ち出してきた。その結果、中国の貧困人口は2012年の約9900万人から、2018年には約1660万人まで減少している。

さらに、2019年12月中旬の中央経済工作会議で公表された2020年の政策方針では、経済政策を安定的に保ちながら、貧困脱却を最優先するスタンスが明らかにされている。総じて、中国政府にとっては、GDPの拡大、すなわち経済成長が依然として重要な課題である。

一方、世界ではGDPの限界に関する認識が広まりつつある。早い例ではブータンが、1970年代からGDPのような経済成長を重視する指標を見直し、国民総幸福量(Gross National Happiness、GNH)の考え方を打ち出した。GNHは伝統や社会、文化、環境保護などの指標を取り入れた、生活の質や社会の発展度合などを測る新しい尺度で、幸福の実現を目指そうとする考え方である。

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