日本人は「失われた30年」の本質をわかってない 原因と責任を突き止め変えねば低迷はまだ続く
このままでは2030年代には、日本は恒常的なマイナス成長国家となり、経常赤字が続き、やがては先進国から陥落する日が来るのかもしれない……。そんな予測をする専門家も多い。日本の失われた30年を、もう1度検証し振り返ってみたい。
この30年、何が変化したのか?
この30年で日本はどんな変化を遂げたのだろうか。まずは、主要な統計上の数字の面でチェックしてみたい。
●株式時価総額……590兆円(1989年年末、東証1部)⇒648兆円(2019年年末、同)
●ドル円相場……1ドル=143.4円(1989年12月末、東京インターバンク相場)⇒109.15円(2019年12月末)
●名目GDP……421兆円(1989年)⇒557兆円(2019年)
●1人当たりの名目GDP……342万円(1989年)⇒441万円(2019年)
●人口……1億2325万人(1989年、10月現在)⇒1億2618万人(2019年、11月現在)
●政府債務……254兆円(1989年度、国と地方の長期債務)⇒1122兆円(2019年度末予算、同)
●政府債務の対GDP比……61.1%(1989年)⇒198%(2019年)
●企業の内部留保……163兆円(1989年、全企業現金・預金資産)→463兆円(2018年度)
これらの数字でわかることは、第1に株価の低迷がずっと続いていることだ。
1989年の大納会でつけた3万8915円という高すぎる株価は、解禁されたばかりの株式先物指数が一部の外国人投資家に使われた意図的な上昇相場であったという背景もあるが、30年間回復できない現実は日本経済に問題があるとしか言いようがない。
アメリカの株価がこの30年で9倍になったことを考えると、日本の株価は異常な状態と言っていいだろう。ちなみに、この30年間でドイツの株価指数も1790.37(1989年末)から1万3249.01(2019年末)に上昇。ざっと7.4倍になっている。
なお、株式市場の規模を示すときに使われる「時価総額」も、この30年で日本はわずかしか上昇していない。
株式の上昇による資産効果の恩恵を日本の個人はほとんど受けていないことになる。個人が株式に投資して金融資産を大きく伸ばしたアメリカに比べると、日本は一向に個人の株式投資が進んでいない。日本人の多くが豊かさを実感できない理由の1つと言っていいだろう。
実際に、この30年で海外投資家の日本株保有率は1990年度には5%弱だったのが、2018年度には30%に達している。日本株の3割は外国人投資家が保有しているわけだ。
かつて日本の株式市場は3割以上が国内の個人投資家によって保有されていた。バブル崩壊によって個人投資家が株式投資から離れ、その後の個人の資産形成に大きな影を落としたと言っていい。現在では、過去最低レベルの17%程度にとどまっている。
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