原油相場は2020年に急落する可能性がある 短期的には1バレル=60ドル超えの可能性も
石油輸出国機構(OPEC)は5日に開いた定例総会と翌日のOPECと非OPEC産油国10カ国と会合で、OPECプラス全体の生産量を2018年10月の水準から日量120万バレル引き下げるとしていた現在の減産量を50万バレル拡大、170万バレルとすることで合意した。
追加減産で合意、当面の原油相場は上昇基調を維持
OPECプラスは世界的な景気の減速に伴う需要の伸び悩みや米シェールオイルの生産増加に伴う世界需給の緩和傾向に対し、確固たる対応を行うことを明らかにしたことになる。
サウジアラムコの上場を控え、少しでも石油価格を押し上げておきたいサウジアラビアが、他の産油国に積極的に減産を呼び掛け、自らも率先して割当枠を超える減産を行う意向を明らかにしたことが背景にある。
特にサウジを中心とした自主的な減産幅が日量40万バレルに達し、実質的には210万バレルの減産規模となったことは、市場にとってはかなりのサプライズとなったようだ。米中貿易交渉に対する先行き不透明感が高まるなか、この減産で世界需給を均衡させることが出来るのかは微妙なところで、来年度も供給過剰の状態が続く可能性は高いと考えるが、追加減産には強い難色を示していたロシアを説得できたという点だけでも、まずは及第点を与えても良いだろう。
原油市場は10月半ば以降、株価が史上最高値の更新を続ける中で徐々に上昇基調を強めてきている。米感謝祭の休み明けの11月29日には、一時3ドルを超える急落となるなど、投機資金に振り回される形で値動きはかなり不安定になってきているのは間違いないが、今のところはまだこのトレンドは崩れていないようだ。
FRB(米連邦準備制度理事会)の緩和的な政策によって、市場に過剰な流動性が供給されていることが大きな下支えとなっているのは、間違いないところだろう。もっともOPECプラスの生産方針や中東情勢不安、米中貿易交渉の先行きや世界的な景気動向など、需給両面の材料にとにかく不確定要素が多い中、今後値動きが更に不安定なものとなっていくのは避けられないところ。今回はこうした状況下で、原油市場がどのような展開を見せていくのかを探ってみることにする。
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