「深夜急行」は1日1本、京阪電車の種別の秘密 準急よりも遅い区間急行も存在する
このように多種多様な種別・愛称が混在している京阪電車であるが、それではなぜこんなに種別が多いのだろうか。1つの理由としては、京阪は「特別停車」「特別通過」を設けていない点が挙げられる。
特別停車、特別通過とは、特定の曜日や時間帯に限って停車したり、通過したりするという仕組み。この仕組みを用いれば、深夜急行は急行に統合できる。しかし、京阪は特別停車や特別通過を設けていないため、現在のように数多くの種別が存在するという自体になってしまったのだ。
種別増は新駅の代わり
2つ目の理由は、種別を細かく分けること自体を売りにしているところだ。大阪―京都間は全国屈指の激戦区間であり、この区間を直通運行する事業者はJR・阪急・京阪である。それぞれ最速はJR、最安は阪急となっている。速達性・価格面だけではない。始発駅が関西最大のターミナル駅・梅田ではなく、少し離れた淀屋橋・中之島である。これだけ見れば他2社にかなわない。
だからこそ、これだけ多くの種別を駆使して停車パターンを増やし工夫を凝らしてきた。快適な「京阪特急」も他社との差別化という意味合いがある。
21世紀以降、大阪―京都間の様相は大きく変化しており、JR京都線の桂川駅、島本駅、JR総持寺駅、阪急の洛西口駅、西山天王山駅など次々と新駅が開業してきた。これに対して、京阪は、種別へのオリジナリティをもって、利便性を高めてきたというわけだ。
加えて、同社は洛楽・特急・それ以外の種別に上り下りごとに駅発車メロディを変えている。しかもそのメロディは有名音楽家・向谷実氏による制作というこだわりよう。「種別が多くてわかりにくい」という声ももちろんあるだろうが、京阪の種別というのはもはや「停車駅の分類」というだけの枠組みを超えて利用者のためのアイデアがそこかしこに凝らされている、唯一無二のサービスへと昇華させたのだ。
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