妊娠発覚で「夫が豹変」32歳の妻を襲った絶望 「子ども、堕ろそうか」と言う夫に妻は…

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平日と休日の落差は激しく、仕事のない日は1日中パズルゲームに没頭。恵子さんとのコミュニケーションは一気に減り、育児にも携わらなくなっていった。恵子さんが不満を漏らすと、「自分の出世が遅れたのは育児を手伝わされたせいだ」と言い放つ。イライラして子どもを過剰に怒鳴りつけたり、運転中の暴言も激しくなったりと、その乱暴さは目に余るようになった。

「言動がみるみるモラハラ気味になっていきました。よく聞いていると、私が仕事にやりがいを見出していることに対する嫉妬が根底にあるんじゃないか、と気づきました。私の残業に対しても、『営業職なんていくらでも代わりがきく仕事なんだから早く帰宅しろ、自分の担っている制作の仕事は替えが効かない大事な仕事なんだ』とマウントを取るようになって。

どこで怒りのスイッチが入るのかわからないので、仕事の話どころかコミュニケーション自体にビクビクしながら過ごすようになっていました」

「離婚したい」「やり直そう」を繰り返し…

家事、育児を一手に担い、そのために仕事を無理やり調整する日々。恵子さんの日々は過酷なものになっていった。それでも、家族であることには変わりはない。ひたすら耐えに耐えた。子どもが4歳になったある日、夫から驚きの発言が飛び出す。

「離婚したいと言われました。心療内科へ行ってきた、と言うんです。そこで、不調の原因は結婚生活にあるから別れたほうがいいと言われた、と。結局自分の頭ではもう何も考えることができなくなってしまったんだな、と悲しくなりましたね。だからと言って、簡単に承諾する気にはなれませんでしたが」

その後、何とか夫を説得して、話し合いの場を何度か設けた。その場では「子どももいるんだし、2人でやっていこう」という結論が一応は出るものの、数日経つと夫は元どおりモラハラ状態へと戻ってしまう。恵子さんが別居を決意したのは、夫の「子どもの事が嫌いになった」という発言がきっかけだった。

「もう取り返しがつかないなところまできているな、と。ちょうど子どもの通っていた保育園が閉鎖になり、都内の系列の園へ転園できるというタイミングでもあったので、私と子どもで家を出ることに決めました。そして同時に、私のフルローンで中古のマンションを購入したんです。いずれ夫が引っ越してきても一緒に住める間取りを選びました。

ただ、私の中にも『もう復縁は難しいかもしれない』という予感は正直あって……。このタイミングで家を購入したのも、離婚前のほうが審査に通りやすいのではないか、という計算があったのは否めません」

一か八かの賭けだった。別居から8カ月後、夫は2人の住むマンションへ引越してきた。ようやく3人で新しいスタートを切れるかもしれない……、そんな期待は2カ月と続かなかった。結局夫婦一緒に生活を始めると、夫が元に戻ってしまうのだ。

「その頃にはもう、『お互い、よくここまで耐えたよね』という感覚になっていたと記憶しています。何度も話し合って、何度もつまずいて……。限界までやりきった、と。離婚を決断する頃には、私の気持ちも夫から離れつつありました」

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