テレビと小泉進次郎の関係に起きた大きな変化 結婚や大臣就任、視聴者の見方は少しさめた?

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私もこの夏「進次郎人気」を目の当たりにした。

7月の「海の日」連休で山形県米沢市などを訪れたのだが、市内中心部の上杉博物館を訪れたところ、館前広場に「小泉進次郎議員が応援に来訪!」という横断幕が掲げてあった。

折しも参院選のまっただ中。苦戦が伝えられる地元候補の応援演説に来るらしい。

時刻は11時前。進次郎氏の来着は12時30分とのことだったが、すでに200人ほどの聴衆が待っていた。気温30℃の炎天下である。熱心な自民党支持者というよりは近所の仲間とピクニックに来ているような風情の「中高年女性」が多い印象だった。

博物館を見学して出たのは12時半前だったが、その時点で聴衆は1000人を超えていただろう。選挙カーのうえで弁士が「まもなく、まもなく小泉進次郎議員が到着します!」と繰り返していた。肝心の候補もそこにいたようだが、存在感は感じられなかった。みんな「小泉を見にやってきた」のだ。

私は次の予定があるので噂の“小泉演説”と熱狂する有権者の姿を見ることなくその場を去ったが、米沢市の人たちには「小泉進次郎がやってくる!」というのは「スター歌手がやってくる」くらいの感覚なのだろう。テレビによく出ているイケメン有名人、なのだ(ちなみに小泉氏の応援空しく地元候補は惜敗)。

この「ピクニック気分で演説を見に来る中高年女性」は、情報番組(ワイドショー)の視聴者でもあるだろう。

そういう意味ではテレビにとっての進次郎氏は、政治家というより「人気タレント」という側面の強い人物だったのだ。一方で進次郎氏もテレビによって政治家としての人気が高まったことは間違いなく、両者は“共生関係”だったとも言える。

結婚会見で視聴者の目線はどう変わったのか?

風向きが“少しずつ”変わってきたのは滝川クリステルさんとの結婚発表からだろう。

このサプライズ婚に世間は驚き祝福する一方で、ある種の「違和感」も感じ取っていたのではないか。

将来の首相候補と言われる“政界のプリンス”と英語・フランス語が堪能な“美人キャスター”。一見非の打ちどころがないカップルだが、まさにそこに「さめてしまった」女性視聴者も多かったのだろう。

首相官邸での臨時会見も「すごい!」と思う反面「ちょっとやりすぎかも」という感情を抱いたことも想像にかたくない。

そして、「進次郎・クリステル婚」は大騒ぎになったわりにはワイドショーの視聴率に結びつかなかった。好感度議員×好感度タレントの“かけ算”が「好感度の2乗」にならずかえってブレーキをかけた形である(もっともそもそも女性視聴者には結婚よりも「離婚」のほうが視聴率は取れるのだが)。

視聴者は正直である。

ちょっと「さめる」とそれまで熱心に見ていた番組も見なくなってしまう。

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