インフルエンザが9月なのに流行し始めた理由 グローバル化やスポーツイベント開催に注意

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9月3日、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の研究者が興味深い研究結果を公表した。

彼らは2862人の医療従事者を、一般用のマスクと、「N95」という高性能マスクをつける群に無作為に割り付けて、予防効果を検証したが、両群に大きな差はなかった。

「N95マスク」は防塵マスクの規格を示す。アメリカの労働安全衛生研究所が定めたもので、きちんと装着すると、フィルターを介して、固体粒子を95%以上補足する。

アメリカでは医療機関に「N95マスク」を導入する際、医療スタッフに対して顔面への密着度を評価するための「フィットテスト」が義務づけられている。その後は年に1回の頻度で行う。この詳細は「医療従事者のためのN95マスク適正使用ガイド」で公開されている。

医療用のマスクでも感染を防げない

筆者も「N95マスク」を装着したことがあるが、肌に密着し、息苦しさを覚えた。市販のマスクとは粉塵の吸入予防効果はまったく違う。ところが、「N95マスク」を用いても、インフルエンザの感染を防げなかった。

結局、インフルエンザ予防に有効なのはワクチンだ。この論文を発表したCDCの研究者たちも、インフルエンザを予防するにはワクチンしかないと明言している。

インフルエンザワクチンは、感染を完全には予防できないが、罹患しても軽症で済む。成人に接種した場合、2週間程度後から抗体が増え始め、4週でピークに達する。その後、3〜5カ月で低下するが、感染者と接触するなどして、ウイルスに暴露され続ければ、効果はもっと長持ちする。年末から年始に接種すれば、冬場だけでなく、来夏にも効果が期待できるかもしれない。ぜひ、インフルエンザの予防接種を受けることを勧めたい。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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