ウーバーは日本のライドシェアを断念したのか 日本のモビリティトップが語る「現実と期待」

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――では、日本市場を諦めたということでしょうか。

いや、日本には大きなチャンスがある。日本は世界で2番目に大きなタクシー市場で、その規模は150億ドルにも上る。一方、アプリによる配車は全体の3~4%に過ぎない。われわれにとって、ここは“伸びしろ”と考えている。

トム・ホワイト(Tom White)/オーストラリア出身。エネルギー省や教育省で政治・公共政策に携わる。西オーストラリア大学で経済学士号を取得。2015年、Uberに入社。オーストラリアでマーケットの拡大などを担当。2017年には、Uber Vietnamのゼネラルマネジャー。2018年より日本でモビリティ事業ゼネラルマネージャー(筆者撮影)

日本でもっとスマホによる配車が増えてくる。街中を走る流しタクシーを捕まえられるときとそうでないときの差が激しい。ラッキーではなくて、テクノロジーでタクシーを連れてきて問題を解決する。

乗客に無駄な時間を返し、ドライバーにもメリットがある。配車アプリを使うことでタクシー会社のドライバーにとって収入アップになることはデータでも証明されている。

ウーバーの優位性は?

――日本のタクシーの配車アプリでは、日本のタクシー業界が主導する「Japan Taxi(ジャパンタクシー)」や中国滴滴出行の「DiDi(ディディ)」などがあります。そうした中でウーバーに強みはありますか。

われわれは世界最高のテクノロジーを持っている。いくつか例を挙げよう。

まず、安全面のテクノロジーでは、稼働中の車両の状況はすべてGPSで追跡しており、その状況をスマートフォンでも見ることができる。同じ画面を大切な人と共有することも可能だ。とくに若い女性が夜間にタクシーで移動したいときに安心できる。

「スポットライト」と呼んでいるテクノロジーもある。同じエリアにたくさんの乗客とタクシーがいる場合、お互いを見つけるのは大変だ。だから、スマホの画面を赤や青一色で光らせて目印にすることで簡単にマッチできる。乗客にとっては時間の節約になるし、ドライバーも生産性が上がる。

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