ハワイで賛否両論、「ホノルル鉄道」が来年開業 現地では電車の利便性を知らない人も多い

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車両は4両1編成。カリフォルニアの工場で組み立てられた最初の編成が2016年春にホノルルに到着した。現在までに6編成が当地に運ばれ、試運転中。2020年末までに20編成が導入される予定だ。

最高速度は時速約90km。高架を走る姿から、地元では電車ではなくモノレールと思い込んでいる人が少なくないが、2本の鉄路の上を鉄輪で走る、紛れもない電車である。

車両の先頭部分の運転台はカバーで覆われている。通常時は運転士を必要としない自動運転なのだ。「米国における鉄輪での無人運転システムはこの列車が初めて」と、日立レール・ホノルルJVのマネジングディレクター、エンリコ・フォンタナ氏は胸を張る。同じく無人運転を行う「横浜シーサイドライン」で6月1日に起きた逆走事故のことも知っており、「あのようなトラブルは起きない設計になっている」と断言した。

車内にはサーフボードラックもある(記者撮影)

車内にはエアコンや無料Wi−Fiが完備。サーフボードを積むラックが設置されているのが、いかにもハワイらしい。

車両基地に隣接する運行管理センターにも最新鋭の機器がそろっており、省力化が徹底されている。もっとも、ホノルル当局は「鉄道建設は毎年1万人の雇用を生む」「開業時に300人の技術者が雇用される」と、雇用増効果を強調しているので、日立としては自慢の省力化を積極的にPRできないのがつらいところだ。

当初は2017年開業予定だった

建設決定からここに至るまでの道のりは遠かった。工事の遅れはどの国でもよくある話だが、ハワイも無縁ではない。当初計画では2017年にはイーストカポレイ─アロハスタジアム間が開業しているはずで、残る部分も2021年開業予定だった。日立もこのスケジュールに合わせて車両を製造した。

工事の遅れは総工費の増加につながる。当初30億〜40億ドルとされた総工費は、現在は80億ドルを超えると試算されている。地元住民の間では、「沿線住民の1人当たり負担額が世界で最も高額な鉄道路線」と批判されている。

主要財源は税金や連邦政府の補助金だ。住民の負担をこれ以上増やすことなく総工費を賄うため、観光客に課すホテル宿泊税の一部も財源に加えられた。日本人観光客も鉄道の建設費を負担しているわけだ。

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