「妙に威嚇してくる上司」実は味方につけやすい 実は自信がないから攻撃してくる?

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「弱きを助け、強きをくじく」ところがあるので、ピンチには役に立つ上司となって助けてくれることだろう。だから勇気を出して、一歩近づくことが大切だ。

一方、タイプ8の部下とはどう付き合うべきか。彼らが人から最も見られたくないのは、弱い自分である。自分が強がることで自分のプライドを支えているので、ありのままの自分を見せることにはものすごく抵抗感があるのだ。だからこそ、それを逆手にとり、まずはあなたの弱いところや仕事上の失敗体験などを共有することが有効。

例えば、次のような自己開示をし、最後に相手からも自己開示が引き出せれば最強だ。

● 私があなたくらいの年齢のときには、こんなことがありました。
● 失敗から学んだことが、いまも教訓になっているのですが……。
● ○○さんも同じような経験はありますか?

タイプでレッテルを貼ってはダメ

こうした会話を通して、自分のネガティブな経験や恐れなどを共有してみる。そうして相手の共感を得て、相手からも不安なことや苦手なことを聞きだせればしめたもの。いったん心を開けば、相手は頼りにしてくれるようになり、さらに、あなたのピンチのときには立ち上がってくれる「最強の味方」になってくれることだろう。

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冒頭のエニアグラムの各タイプには、もちろんネガティブな面もあれば、ポジティブな面もあり、過去の経験や現在の仕事の状況により、自分自身の気質のよい面や悪い面が出る。

まずは、9つの性格の特徴を理解したうえで、「この人はどんなタイプなのか?」と、興味関心を持って近づき、9つのタイプで分類すれば、相手のタイプの特徴に気づき、お互いの距離は縮まっていくだろう。くれぐれも、タイプでレッテル貼りをして「だからタイプ8は苦手だ」などと避けることはせず、タイプ8のよいところを見つけてほしい。

いったん、9タイプに分けてその人の性格的な概要を理解することができるようになれば、その先は、タイプから離れてその人個人のポジティブな面にフォーカスしよう。タイプはあくまでもタイプであって、その人自身ではない。

タイプを分けることを目的にせず、「自己理解(どんな色眼鏡を通して自分は相手を見ているのだろうか?)」と、「他者理解(相手は何を大切にしているのだろうか?)」を通じて、その先によりよいコミュニケーションが生まれ、人間関係の問題が解決するのである。

片桐 あい カスタマーズ・ファースト代表取締役、産業カウンセラー

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かたぎり あい / Ai Katagiri

キャリアカウンセラー(CDA)。行動習慣ナビゲーター。人間関係問題解決コンサルタント。

日本オラクル株式会社(旧サン・マイクロシステムズ株式会社)サポート・サービス部門に23年間勤務。2009年から「キャリアディベロップメント&トレーニング」という部署を立ち上げ、延べ1500名のエンジニアの育成に携わる。また、グローバルのプロジェクトで「エンジニアのトレーニングの開発」のためのメンバーに選出され、各国の教育担当とカリキュラムを開発する。卓越したコミュニケーション能力・問題解決能力を武器に2012年に独立し、企業研修講師となる。これまで、年間約120件登壇し、約2万5000名の育成に従事。また、人財育成コンサルティングで、延べ3400名の育成にも尽力。

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