ピコ太郎「日本よりも海外で超売れた」深い理由 天才・古坂大魔王がお笑い界に示した「希望」

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最初のきっかけと言えるのは、動画コミュニティーアプリの「MixChannel」である。ここで人気を博していた「まこみな」や「りかりこ」などの双子の女子高生が、PPAPのダンスをまねる動画を公開した。これをまねする人も相次いでいた。

それが世界的に有名な画像投稿サイト「9GAG」で紹介され、フェイスブックを通して広まった。それを受けて、海外でも「PPAP」のメタルバージョン、バラードバージョンなどの動画が制作されて、ユーチューブで公開された。これらはすべてジャスティンが紹介する前に起こっていることだ。

これだけの下地があったうえで、ジャスティンがウェブで話題になっていた「PPAP」の存在を知った。それを面白がってツイッターで紹介したことで、拡散にますます拍車がかかったのである。

「PPAP」の音楽としての魅力

仕掛け人であるピコ太郎のプロデュースを手がける古坂大魔王は、動画をアップしたときにこれほどの反響があるとは想像もしていなかった。ただ、結果的にこれだけ広まった理由は、「PPAP」が世界中の誰にでも理解できる単純な英語で構成されていたということ。そして、芸人がやるような「リズムネタ」という枠を超えて、世界に通用するキャッチーな音楽性があったということだ。

世界中で受け入れられると予想していなかったとはいえ、そうなってもおかしくないだけの音楽としての完成度の高さがあった。そこが重要だったのだ。

古坂大魔王はもともと芸人として「底抜けAIR-LINE」というコンビ(初期はトリオ)で活動していた。当時から音楽とダンスにはこだわりがあり、ネタの中に自作の音楽や派手な動きを取り入れていた。底抜けAIR-LINEが解散してからは、古坂はミュージシャンに転身。その後、芸人としての活動も再開して、二足のわらじを履くことになった。笑いと音楽を融合させて独自の世界を作り出す古坂の芸風は唯一無二のものだった。

2017年3月19日放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の中で、古坂はピコ太郎の音の秘密を赤裸々に語っていた。

次ページ「マヌケさ」を醸し出す「PPAP」のテンポ
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