「通勤ライナー」で鉄道会社は本当に儲かるのか 各地で続々登場…収益力高く利用者にも好評

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そして3月16日のJRダイヤ改正では、東日本旅客鉄道(JR東日本)が中央本線などで特急「はちおうじ」「おうめ」を、西日本旅客鉄道(JR西日本)が東海道本線などで特急「らくラクはりま」と新快速の有料指定席「Aシート」をそれぞれ開始した。

西日本鉄道も2020年春をメドに有料指定席を導入すると報じられている。

「通勤ライナー」は決算にも貢献し始めた。例えば、筆者の試算によると、東武「TJライナー」は約1億1000万円、京王「京王ライナー」は約1億3000万円の営業利益を上げていると推定される。

利用者と鉄道会社の双方にメリット

一般列車増発は利用者にとっては混雑緩和のメリットがあるが、乗車人員が増えない限り、鉄道会社には営業費の負担が増える。一方、増発を有料の「通勤ライナー」で行うと、料金収入が入るメリットがある。

クロスシートで運用する「京王ライナー」の車内(撮影:尾形文繁)

一方、首都圏・関西圏では、相模鉄道、東京都交通局、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、阪急電鉄、阪神電気鉄道、山陽電気鉄道には有料指定席の設定がない。

通勤時の混雑が激しい東急東横線や東急田園都市線二子玉川駅以東では、有料指定席の導入を望む声もある。

今後も「通勤ライナー」の運行路線や運行本数のさらなる拡大のほか、電源コンセント、テーブル、ドリンクホルダー、無料Wi-Fi、上質な座席を備えた、ハイグレードな車両の導入が望まれる。もう一段高いステージの競争を通じて、路線のイメージアップとともに、沿線の定住促進へ貢献する役割が期待される。

大塚 良治 江戸川大学准教授

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おおつか りょうじ / Ryouji Ohtsuka

1974年生まれ。博士(経営学)。総合旅行業務取扱管理者試験、運行管理者試験(旅客)(貨物)、インバウンド実務主任者認定試験合格。広島国際大学講師等を経て現職。明治大学兼任講師、および東京成徳大学非常勤講師を兼務。特定非営利活動法人四日市の交通と街づくりを考える会創設メンバーとして、近鉄(現・四日市あすなろう鉄道)内部・ 八王子線の存続案の策定と行政への意見書提出を経験し、現在は専務理事。著書に『「通勤ライナー」 はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)。

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