建設現場の外国人「処遇改善」で日本人と大差

建設キャリアアップシステムで何が変わるか

この春から「建設キャリアアップシステム」の運用が開始しました(写真:PIXTOKYO/PIXTA)

約330万人の建設技能労働者と外国人技能労働者(技能実習生含む)にID(本人確認)カードを保有させ、就労履歴データを蓄積・管理する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」が2019年4月から運用を開始した。

深刻化する人手不足対策として導入されたが、開始直前になって外国人技能労働者への加入義務付けをめぐって、一部の建設業界団体から不満が噴出。労働者側からも「IDカードを保有するメリットが感じられない」との声も聞こえてくる。

CCUS導入の狙いは、一般消費者を含めて建設工事の発注者にも技能労働者の「技能の見える化」を実現することで、労働者の処遇を技能レベルに応じて改善していくことにある。はたして建設労働市場の変革は実現するのか。そのシナリオを2回にわたって探る。

全建はなぜ反対したのか

「そもそもCCUSの加入は任意のはずだが、なぜ外国人技能労働者の加入は強制なのか。短期間で帰国する技能実習生にIDカードを持たせるのは無駄だし、事業者側の負担も重い」

3月下旬に開催された建設キャリアアップシステム運営協議会の第5回総会で外国人問題にかみついたのが、地方の有力ゼネコン2万社で組織する全国建設業協会(全建)だ。続いて中小建設業者で組織する全国中小建設業協会、全国建設産業団体連合会からも同様に不満の声が上がった。

当初からCCUS導入で最大の抵抗勢力と言われてきたのが全建だ。建設労働者の「技能の見える化」が進めば「優秀な技能者を大手に引き抜かれる心配がある」(近藤晴貞・全建会長=西松建設会長)というのだが、理由はそれだけではない。

全建などに加盟する元請け建設会社にとって、下請け会社が抱える技能労働者の処遇改善はコストアップにつながる。受注競争力を維持するために労務費を抑えたいのが本音。建設労働者の社会保険未加入問題が解決しないのも、未加入労働者を使ってコストを下げた下請け会社を使う元請け会社がなくならないからだ。

実は、CCUSには労働者の現場入場の有無を記録するだけで、入退場の「時間」を記録する機能が付いていない。これを強く要望したのも全建と言われる。出退勤時間を記録しなければ、残業時間と残業代の計算もできない。「残業代を払いたくないのではないか」(労働組合関係者)との見方が出るのも当然だ。

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