実は京急電鉄の「兄弟」、養老鉄道の生き残り策 ルーツをさかのぼると両社の創業者は同じ
そのほか、近鉄時代から継続している、自転車を列車内に持ち込めるサイクルトレインの取り組みや、ユニークな企画乗車券の販売も養老鉄道の特色になっている。
過去には、沿線のスポーツ用品メーカー「ミズノ」の工場でバット製造時に出た不適合材を利用した「バットきっぷ」や、大垣特産の枡(ます)をそのまま切符にしたものなどを販売したこともある。
今後の予定としては、養老鉄道に最近移籍した旧東急7700系がデビューする際には、「かなりユニークな切符を用意する予定」(山川氏)だという。7700系は、ATSの置き換え等を実施し、VVVFインバーター装置の音が信号装置に与える影響などを試験した後に投入する予定だ。
新しい事業スキームへ
営業努力や経営合理化の結果、近鉄直営時代に比べれば赤字額が圧縮されたものの、事業環境が厳しいことに変わりはない。2008年度から2013年度でみると、養老鉄道に対して年間約9億円の支援が行われ、このうち、沿線自治体の支援限度額が年間3億円であることから、残りの約6億円は近鉄が負担した計算だ。
このような状況から、2014年3月より沿線市町と岐阜県、三重県、近鉄、養老鉄道の間で鉄道存続やバス代替案などについての検討が始まった。
そして同年7月、近鉄より「今後、事業環境がますます厳しくなる見通しである中、養老鉄道の運営に伴い発生する損失について引き続き負担していくことは民間企業として難しい」とし、「鉄道ありきではなく、養老線のあり方を地元で考えていただき、もし鉄道存続であれば公有民営方式による運営形態への変更を」との提案がなされた。
こうした経緯をたどり、2018年1月1日より、新たな事業形態での養老線の運行が開始された。2県にまたがる沿線3市4町が出資して設立された一般社団法人「養老線管理機構」が第三種鉄道事業者として用地を近鉄から有償借用(租税公課分を負担)するとともに、近鉄から譲渡された鉄道施設と車両の保有・維持管理を行う。また、養老鉄道は第二種鉄道事業者として用地・施設・車両を新法人から無償で借り受けて列車の運行を行う。
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