女性の「映画音楽作曲家」が極端に少ない現状 ヒット映画にかかわっているのはごくわずか

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トプラクは昨年4月に、「音楽や芸術全般に性別は関係ない。なぜなら、感情はジェンダーレスだから」と語った。

それでも、いまだにほとんどの映画音楽が男性の手によるものだ。女性が活躍する「ゴーストバスターズ3」や「オーシャンズ8」といった映画ですら、男性作曲家が音楽を担当する。

ヒット作で女性作曲家が起用されているのは

女性が映画音楽の作曲に携わってきた歴史は長いものではない。先駆者と言えるのは、おそらくジェルメーヌ・タイユフェールだろう。タイユフェールはフランスの作曲家で、1926年に紀行映画の音楽を共同作曲した。その30年後、アメリカ人のべべ・バロンが夫のルイスとともに、映画「禁断の惑星」の前衛的な電子音楽をつくった。

ウェンディ・カーロスはシンセサイザーによる独創的なアルバム「スウィッチト・オン・バッハ」を制作し、それをきっかけに映画監督のスタンリー・キューブリックに起用され、映画「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」で音楽を担当した。アンジェラ・モーレイは、1979年のアニメーション映画「ウォーターシップダウンのうさぎたち」や、テレビドラマの「ダイナスティ」や「ダラス」の音楽を担当し、アカデミー賞にノミネートされたこともある。

ピアニストのシャーリー・ウォーカーは、映画「地獄の黙示録」で音楽担当のカーマイン・コッポラに協力。自身で作曲もしており、テレビアニメシリーズの「バットマン」や映画「ファイナル・デスティネーション」などの音楽を担当した。しかし、トップクラスの映画に作曲家として参加することはできなかった。

ウォーカーから指導を受けた作曲家のロリータ・リトマニスは言う。「彼女は、男性だったら参加できたような会議にも出席できなかったのではないかと思う。しかし、その状況に憤慨はせず、最後まで挑戦していた」。

女性として初めてアカデミー賞作曲賞を受賞したのは、1996年の映画「エマ」の音楽を担当したレイチェル・ポートマンだ。(ポートマン以外で同賞を獲得した女性は、1997年の「フル・モンティ」の音楽担当、アン・ダドリー1人だけだ)。

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