みずほ、「6800億円」巨額損失でも前向きのなぜ 次期中計でV字回復シナリオを描けるのか

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ほかの2メガは過去に店舗に関わる減損をすでに計上している。三菱UFJは前2018年3月期に店舗改革と不採算店舗の処理に430億円を計上。三井住友も2018年3月期に店舗改革費用として250億円を計上している。みずほは他メガに追いついた形になる。

残る4600億円の大部分はソフトウェアやシステムの減損だ。みずほは現在、新システムへの移行作業を進めている。2018年6月以降、9回に分けて週末のATM利用を停止しており、2019年7月に最後の移行作業が完了する予定だ。

新システムの総投資額は4000億円台半ばで、5~10年で償却をする予定だった。大半はリテール部門に帰属しているため、今回の減損によって、年間800億程度とみていた毎期の費用負担は軽くなる。また、2018年12月末時点にあった外国債券の評価損(1531億円)の大半を今回、処理したとみられる。

坂井社長「懸念の処理はすべて完了」

今回の下方修正は本業の業績が不調であるというより、今後発生するであろう費用を2018年度中に前倒しで計上したものだ。その点、会計的には保守的な処理を行ったといえ、みずほの坂井辰史社長が「前向きな減損」と言うように、評価できる内容だ。坂井社長は6日の記者会見で「構造的課題を解決し、強みや底力を最大限に発揮するため、今回の一括処理がベストな選択肢であると確信している」と話し、「現時点で見通せる懸念の処理はすべて完了する」と強調した。

坂井社長は就任から1年を迎え、2019年度から新しい中期経営計画をスタートさせる。「次世代の金融業に舵を切る」(坂井社長)とし、「自前主義ではなく、連携も加速し、柔軟にスピーディに変化に対応する」(同)と意気込む。

たしかに、みずほは他社との連携が目立つ。3月4日にリリースしたスマホ決済アプリ「J-Coin Pay」は約60行の地銀と連携し、相互の顧客基盤を活用して加盟店開拓を進める。LINEとの新銀行設立やソフトバンクと連携したJ-Scoreなど、異業種との連携にも積極的だ。

一方で、本業の収益業績を伸ばす策については不透明な部分もある。今回の損失によって膿を出し切り、将来の成長にどのようにつなげていくのか。今回の減損で「背水の陣」を敷いたみずほの反転攻勢は、まずは5月公表の新中計にかかっている。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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