――それで、サイをひらめいたキッカケは?
季節は忘れましたが、自宅のリビングでジムニー用マスコットのアイディアを練っていました。会社でも、家でも、ずっと考えていましたから。
「なんか(いいマスコット)いないかなぁ~」、ぼそっと言いました。すると、台所で家事をしていた妻が、こちらを振り返りもせず「サイは?」と言ったんですよ。
それを聞いて、「ジムニーはかわいい(外観の)クルマだぞ、どうしてサイなの?」と言い返したんですが……。しばらくして、ふと思い出したんですよ、子どもの頃に見た映画のことを。
(西部劇のスター)ジョン・ウェイン主演『HATARI!(ハタリ!)』(1962年アメリカ作品)。アフリカの原野で繰り広げられる冒険スペクタクルで、最終的にサイが冒険家たちが乗るジープに向かって逆襲してくる、というストーリーです。その(ポスターの)サイの姿が、低く構えていて、躍動感があった。
サイは恐竜の生き残りのイメージ
――なるほど、驚きの誕生秘話ですね。その映画に登場したのがジープだったことが、ジムニーと結びついた、ということは?
いや、そんな記憶はありませんね。
――そうした発想から、ジムニーのサイを作り込んでいった?
はい。サイは、恐竜の生き残りのイメージがあります。それを、さまざまなラインを引いて雰囲気を出しました。白べたにするのではなく、鎧のような雰囲気で。
それから、ここを見てください。(ジムニーのカタログを指さして)前後の足が左右で長さが違うでしょ。これで遠近感を出しているんですよ。最初は、左右の足がフラットな位置にあったんですが。
サイのサイズは、先ほど言いましたように、カッティングシートをタイヤカバーに張って、円周の中での大きさを調整しました。
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