短くてゆるい運動が脳に及ぼす侮れない効果 たった10分ゆるやかに体を動かすだけで

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驚いたことに、運動後は脳の働き方にも変化が出た。MRIのデータから、海馬と同時に学習と関連のある脳の部位も活発に動いていることが確認されたのだ。つまり、運動していなかったときと比べて脳の離れた場所同士がうまくつながるようになっていたわけだ。

また、この離れた場所同士の連携がうまくいっている学生ほど、記憶力テストの成績がいいという結果も出た。

運動は即座に人の脳と心に変化をもたらしうる

「効果がこんなに早く、それもあんなに軽い運動の後で出ているのを見てワクワクした」と語るのは、カリフォルニア大学アーバイン校で学習・記憶神経生物学センター所長を務めるマイケル・ヤッサ教授だ。ヤッサは筑波大学の征矢英昭教授らとこの研究を行った。

今回の研究で、運動は即座に人間の脳と心に変化をもたらしうること、そしてそれには何週間も続ける必要はないことが明らかになったとヤッサは言う。さらにありがたいことに、非常に軽い運動で十分なため、健康状態がすぐれない人や障がいのある人でもできるような運動でも効果が期待できる。

分子レベルで言うと、こうした軽い運動が脳の働きにどのような影響を与えているのかはわからないとヤッサは言う。もっともヤッサら研究グループは、血流やホルモンレベルの変化が関係しているのではないかと考えている。

今後の研究ではこうした仕組みを掘り下げるとともに、もっと幅広い年代で軽い運動の効果を調べたいと研究グループは考えている。

だが現時点でも十分に励まされる話ではないだろうか。

「何もマラソンをしろと言っているのではない。短い散歩やヨガや太極拳のような軽い運動でも記憶力を改善できるらしいということだ」とヤッサは言った。

(執筆:Gretchen Reynolds記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2018 New York Times News Service

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