寿命超えボロボロ…日本の水道の悲惨な実態 水道を守るには、2倍から3倍の料金が必要?
それを避けるためには、
「コンセッション方式を行う場合は、国に準ずる査察権を持ったチェック機関が必要になる。行政のガバナンスをきかせるために、民間企業へ出向させることも重要です」
と水のプロとして提言する。
運用に成功している管理会社も
官民連携でうまく運用できている水道管理会社がある。広島県の『水みらい広島』だ。
「民間企業が65%、県が35%出資した会社で、県のガバナンスがきいている。8月の土砂災害でも、同社は24時間態勢で素早く復旧にこぎつけた」(前出・吉村代表)
同県水道課を取材した。
「2013年度から2016年度までの経費を公営時と比べたら、年間1700万円の削減ができています。IT化で業務の効率化を図っています。チェック機能としては県が毎月、監査に入り、事業水準が担保されているのか確認しています」
ただ頭が痛いのは、水道管などの更新に必要な2500億円。「市町村との広域連携を模索し施設を統廃合する」(同担当者)という。
香川県は今年、県と市町の17の水道事業を一元化した。
「広域連携でのスケールメリットを生かし、県内の浄水場71施設を、10年間で38施設にします。水道料金は2600円から4194円(月に20立法メートル使用した場合)と地域差がありますが、2028年度には2900円に統一していきます」
と同県広域水道企業団は手ごたえを感じている。
「コンセッション方式でビジネスが成立するのは、給水人口が50万人以上。日本の自治体の7割は給水人口が5万人以下。小さな自治体は見捨てられる可能性がある」
と前出・吉村代表。そのため広域化、統合化によって徹底的に無駄を省くことが水道事業には求められる。各自治体が値上げ抑制に奮闘しているが、日本水道協会の『水道料金表』によれば、ここ30年ほどで水道料金は約1.4倍になっている。
コスト以上に命と直結するライフライン水道に求められるのは安全性だ。
孫の代まで安全な水を守るためにも「水と安全はタダ」という日本的発想を再考する時期に来たようだ。
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