マツダの先行きは、懸念材料が山積みだ 今期下方修正後もコスト拡大の不安
中国市場についても、米中貿易摩擦とそれに伴う株式市場の低迷で「消費者心理は冷えている。早期には回復しない」(青山裕大常務)という見立てだ。
中国の4―9月期の販売実績は前年同期比11%減の13万3000台となり、通年での販売計画を従来から2万8000台引き下げて29万4000台とした。
米国販売網の強化に伴う費用も引き続きかさむ。マツダは現在、米国に生産拠点を持っていないが、トヨタ自動車<7203.T>と21年の稼働予定で年産30万台(トヨタ分15万台)の合弁工場を米国に建設している。今後の販売拡大に備えるために、販売網の拡充は欠かせない。
トヨタと提携していることがせめてもの救い
NAFTA(北米自由貿易協定)見直しに伴い、20年から新たに適用されるUSMCAへの対応でもコストが増えるのは必至。関税免除の条件が厳格化され、基幹部品も含めて域内生産の拡大を事実上、迫られているからだ。
トヨタとの合弁工場建設で両社は約16億ドルを投じる計画だが、古賀専務は「労務費や鉄板などの鋼材費は少なくとも上がっていくことを覚悟せねばならない。そして、米国での部品調達は増やさざるを得ない」と述べた。投資負担が拡大することを示唆した形だ。
楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリストは「事業規模の大きいトヨタなら、かさむコストを2-3年で挽回できるかもしれないが、マツダの規模だと値上げもしにくい。トヨタと提携していることがせめてもの救い。どう協力を仰げるかだ」と話している。
(白木真紀)
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